研究概要 |
当該年度の研究は質問紙調査による部分と,小学校・中学校での調査測定とに大別される。質問紙調査は、前年度より検討していた高等専門学校の教官を対象としたものをまず行い,以下の成果を得た。(1)朝の疲労感の訴えは85%,仕事に関係する病気のある者は17%で,心身症的なものが多い,(2)消化器系自覚症状で下痢は48%,胃の痛みは40%,食欲不振35%,便秘29%,で,年令階層による違いが認められた。(3)疲労自覚症状では眼が疲れる,肩がこる,が多く,眼が疲れるは特に実務担当者で有意に多かった。これらを踏まえ,全国から教育方法上特色のある小・中・高校を選んで教職員および児童生徒対象に郵送調査を行い,延べ人数4702人の回答を得た。(1)教員で健康に対しての不安や悩みをもつ者は約半数で,年代が上がるにつれて多くなる。疲れ,肩こり,腰痛が多い。(2)ここ5年間で視力低下のある者は27%(3)仕事が原因の病気は男性28%,女性41%があると答えた。仕事上のストレスは75%が訴えた(4)児童生徒の回答で,中学校のコンピュ-タ導入校は非導入校に比べて「学校が楽しい」者が多い,といえた。(5)小学校のコンピュ-タ導入校では,肩こり・体のだるさ・目の疲れが多いが,特に,コンピュ-タを使った授業が「嫌い」な子に,「好き」な子より自覚症状が多いと言えた。 小・中学校での調査測定は延べ7校で計画より少なかったが,以下の成果を得た。(1)教職員のフリッカ-値は,一日の中では昼に低下,午後に上昇するパタ-ンを認め,一週間では月曜から木曜まで上昇し,金・土曜に低下するパタ-ンが多かった。(2)児童生徒の授業前後の眼機能の違いは,乱視度にあらわれ,またフリッカ-値と目の疲れの自覚に有意差が認められた。(3)一人学びの学習形態ではGSRが能動的場面で出現し、一斉学習では受動的場面で出現した。以上により,教職員の精神保健,登校拒否と学校教育との関わり,具体的保健指導を検討した。
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