研究概要 |
高エネルギ-天体ガンマ-線を空気チェレンコフ光で観測する場合、困難だが重要なことは数千倍のハドロンシャワ-をいかにして区別するかである。この研究ではチェレンコフ光を大口径の光学反射鐘で集光して焦点面に格子状に配置した多数の光電子増倍管に結象させ,光の強度及びタイミングを記録し,チェレンコフ光像のパタ-ンと時間的クラスタ-の仕方から,ハドロンシャワ-を99%以上排除し,角度分解能を0、15゚以下の精度で,ガンマ-線をポジティブに検出できることを実証するのが目標である。 このため高エネルギ-ガンマ-線及びハドロンによるシャワ-が発する空気チェレンコフ光を時間的伝播を加えた4次元のモンテカルロシュミレ-ションを完成させた。観測装置の条件を取り入れて,現実性の高いチェレンコフ像をコンピュ-タ-で発生出来るようになり,それを解析してハドロンとの区別の方法,夜光や星の光を受ける中での効率の良いトリガ-方法,ガンマ-線に対する角度分解能を調べてきた。 これらの検討を実証するため,反射鏡は国立天文台堂平観測所の月レ-ザ測距儀に使われた3、8mのパラボラ鏡を改修し,東大宇宙線研,東工大理学部,アデレ-ド大学と協同して南オ-ストラリアのウ-メラに設置することが完了した。また計測用エレクトロニクスが出来上り,一部は現地に送り出し観測体制の整備がスタ-トした。イメ-ジングに用いる3/8インチ光電子増倍管を集積したカメラの128ピクセル分が完成間際で最終調整の段階にあり平成3年5月〜6月に現地に送り最初の観測に入る予定である。 なお平成2年4月末に神戸大主催で、ハワイ大,甲南大,大阪市大,京大,東大宇宙線研,東工大,高エネルギ-研から関連する研究者が参加して天体ガンマ-線観測のテ-マで研究会を開催した。
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