研究概要 |
NaCl中に埋め込まれたCuClの励起子帯域における共鳴ラマン散乱スペクトルを測定すると,微結晶に特有な音響フォノンによる散乱ピ-クが観測され,そのエネルギ-は微結晶サイズが小さくなる程大きくなることが分かった。この現象は音響フォノンのサイズ効果を示しており,このことから微結晶における励起子ーフォノン相互作用についての知見が得られた。更に,励起子吸収スペクトルに見られる微細構造からNaCl結晶中ではCuCl結晶の外形は立方体をしており,立方体のCuCl結晶中での量子サイズ効果が見られることが分かった。ゼオライト中にpbI_2,HgI_2,BiI_3クラスタ-を挿入すると,励起子エネルギ-と振動子強度に量子サイズ効果が現われ,その程度はバルク結晶中での励起子のボ-ア半径の大きさに依存することが明らかになった。更に,高濃度にpbI_2を吸蔵させると,反射率が急激に大きくなることが分かった。この現象は単にモ-ショナルロ-イング効果によっては説明できず,PbI_2クラスタ-が格子を組んだクラスタ-結晶が実現したため,フレンケル励起子が発生したことによると考えて説明できた。 金属カリウムを高密度にゼオライト中に入れると,単に表面プラズマによる吸収が見られるのみならず,非常に大きな帯磁率が4K以下で観測された。帯磁率の大きさと急激な温度変化からゼオライト中に吸蔵されたカリウムクラスタ-が互いに相互作用を及ぼし,強磁性を示すようになったと考えられる。実際に,履歴現象も観測され,10e程度の非常に弱い外部磁場でも帯磁率が急激に減少することが分かった。この敏感な外部磁場依存はスピンが非常に動き易いことを意味していると考えられる。
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