研究概要 |
本研究の目的は大別して3項目に分れられる. 1,固体媒質中に埋め込まれた半導体超微粒子の電子励起状態を調べそのサイズや電子格子相互作用を調べる研究.この研究はPbI_2超薄片状単結晶を有機ポリマー中に埋め込んでその励起子によるホールバーニング効果をポンプ-プローブ分光により調ベた.この測定から低温では微結晶界面による励起子散乱が強く、40K以上では光学形フォノン散乱が吸収帯幅に影響してくることを明らかにした.更に超強磁場中での励起子の反磁性シフトの測定から励起子の内部運動の様子が分かった.即ち,2,3層の厚さのPbI_2結晶の励起子は面内でも縮むことを明らかにした. 2.半導体や金属の超微粒子を規則配列させ,3次元超格子構造での電子物性を調ベる研究.この研究はゼオライトを用いて行われ,ゼオライトLTA中のPbI2_2クラスターの配列により反射率の急激な増大が観測された.またKを含むゼオライトではクラスターによる表面プラズモンの吸収と伝導電子による吸収が観測され,帯磁率の測定からは,1p状態に中途に充たされた電子状態で強磁性になることを見出した.この現象は,クラスターのスピンが互いに相互作用してスピンを揃えることを表している. 3,固体媒質中のCuCl微粒子の非線形効果 この研究は励起子吸収帯に生じるホールバーニング現象を調ベることにより研究された.その結果,微粒子サイズの増大とともに光学非線形性が強くなり,5nm以下の超微粒子における光学非線形性は超微粒子一個当りの励起子数に依存するという結果が得られた.なお,金属表面の電子励起状態の研究は現象の観測が困難なため成果をあげることができなかった.
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