研究概要 |
本年度は(1)超格子型及びフィボナッチ周期型のラングミュア・ブロジェット(LB)膜の形成をすすめ,X線回折を主たる主段として構造解析をすすめると共に,(2)超伝導ジョセフソン接合によるフォノンスペクトロメ-タ-を開発し,(3)分子集合膜としてのLB膜の分子レベル格子力学特性を明らかにするための実験的研究にとりかかり,(4)実験結果を解析するためのバレンス・フォ-スモデルの活用につて基礎固めを行った。 前年に超格子型LB膜について重金属イオンが2量体構造をとる際にはX線の回折ベクトルが次数の偶奇性に応じて増減することを発見したが,この現象の素性を解明することを目的として、構成する分子種による変化を調べると共に,放射光X線による精密構造解析をすすめた。これにより回折ベクトルのシフトは散乱ベクトルのひろがりによる偶然性によるものではないことを確認した。一方,超伝導トンネルジョセフソン接合につていは良質のSnーIーSn,Pb(Bi)ーIーPb(Bi)対をサファイア結晶の両端に作成することに成功し,これによって300〜800GHzにわたるフオノンスペクトロスコピ-ができることを確認した。この実験技術は本邦において初めてのものである。本研究の目標はLB膜のフォノン透過特性を明らかにすることがあるが,このためにはサファイア上につけた,LB膜に良質のジョセフソン接合を形成する必要がある。このための試みを重ねているが フォノンスペクトロスコピ-に使用できるレベルの接合の形成には成功していない。本年度で予定の研究期間を終了することになるが,更に研究を重ね可否を見極める。なお,フィボナッチ周期膜についてはX線回折により構造解析をすすめた。
|