研究課題/領域番号 |
01420014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 正道 東京大学, 教養学部, 講師 (70107944)
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研究分担者 |
大隅 一政 高エネルギー物理学研究所, 放射光, 助教授 (70011715)
遠藤 泰樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (40106159)
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キーワード | ラマンスペクトル / 隕石 / ダイヤモンド / 気相合成 / CVD / 惑星科学 / 宇宙化学 / 分光学 |
研究概要 |
今年度は本研究の初年度にあたるため、主要設備である顕微レ-ザ-ラマン分光光度計の機種選定が重要な作業の一つであった。ダイヤモンドの1330cm^<-1>付近のラマン線の波数位置と半値幅を精度良く決定する必要があるため、マルチチャンネル検出器付とした。測定に用いる試料として薄片を利用する場合も多いので、それに適した顕微装置を選択した。予備的な実験として、産状の異なるダイヤモンドのラマンスペクトルの測定を行なった。ブラジル産のダイヤモンドのラマン線の半値幅は約5cm^<-1>、衝撃圧合成ダイヤモンドのそれは、約35cm^<-1>、気相合成(CVD)ダイヤモンドは、約10ー18cm^<-1>であった。 CVDダイヤモンドの半値幅は約6ー12cm^<-1>との報告例もあるが、大体、今までの結果と矛盾しない測定結果が得られた。次に、ユレ-ライト隕石中の約1μmサイズのダイヤモンドのラマンスペクトルも測定した。その半値幅は、約8cm^<-8>であった。この値は、CVDダイヤモンドの半値幅の範囲に入る。いづれの合成方法のダイヤモンドについても、まだ測定数が少ないので、確定的な結論は引き出せないが、ユレ-ライト隕石中のダイヤモンドの成因について、原始太陽系星雲内で気相から生成した可能性を示唆するものである。一方、高エネ研で放射光を用いて、CVDダイヤモンドの極微小単結晶X線回折も試みており、ラマンスペクトルの結果と比較する予定である。今後、さらに多くのダイヤモンドについてラマンスペクトル測定を行ない、分光学的考察も加え、隕石中のダイヤモンドの成因について、確定的な結論を得る事を目指すつもりである。
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