研究課題/領域番号 |
01420015
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
相川 信之 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047327)
|
研究分担者 |
益田 晴恵 大阪市立大学, 理学部, 助手 (70183944)
篠田 圭司 大阪市立大学, 理学部, 助手
吉田 勝 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (30047112)
古山 勝彦 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10112525)
|
キーワード | 石英 / 微細構造・組織 / 結晶粒成長機構 / 赤外吸収スペクトル / 熱・応力履歴 |
研究概要 |
チャ-トのような岩石を構成する微結晶石英は、表面エネルギ-に起因する内部応力によって、大きな歪を示す。又、剪断帯の岩石中の石英は、変形時の応力を反映して、結晶内に多数の転位が生成されている。この転位付近に形成される歪場によって、石英の平均的な結晶内歪がかなり大きいことも明らかにした。 微結晶石英や大きな変形を受けた岩石中の石英のように、大きな歪エネルギ-を結晶内や粒界付近に持つ石英が、熱(特に、変成作用時の熱)の影響でどのように変化していくかを検討するため、いくつかの地域を例にとって研究を始めた。その結果、チャ-トを構成する微結晶石英はその粒径を増大させることによって歪エネルギ-を減少させ、安定化するというきわめて一般的な結果が得られた。しかし、その変化過程は単純ではなく、中間段階で転位密度を増大させ、内部応力による歪エネルギ-と転位による歪エネルギ-の和がほぼ一定になる段階が存在するらしいことが明らかになった。さらに、変成温度と粒径の関係から、結晶粒成長の過程に流体が関与したと解釈できる証拠が得られた。一方、強く変形された石英では、一定温度下で転位密度が大きいほど再結晶石英粒径が小さくなるという金属学分野でよく知られた結果が得られた。このことは、この種の岩石中の石英の熱による再結晶・粒成長機構に流体がほとんど関与しなかったことを示すものかもしれない。 現在、今回購入した赤外分光光度計によって岩石中(あるいは石英中)の流体(特に、水)の存在状態と分布を明らかにすべく実験中である。詳細な検討はしていないが、石英中あるいは石英粒界にはいろいろな状態で“水"が存在することを示すスペクトルが得られている。今後、スペクトルの詳細な検討で、結晶化・変形・再結晶・結晶粒成長の過程での流体の役割を明らかにしていく予定である。
|