研究課題/領域番号 |
01420015
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
相川 信之 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047327)
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研究分担者 |
篠田 圭司 大阪市立大学, 理学部, 助手 (40221296)
吉田 勝 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (30047112)
古山 勝彦 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10112525)
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キーワード | 石英 / 微細構造・組織 / 結晶粒成長機構 / 赤外吸収スペクトル / 熱・応力履歴 |
研究概要 |
岩石あるいはそれを構成する鉱物の変形に、"水"が重要な役割を担っていることはよく知られている。岩石を構成する鉱物、特に石英結晶、に注目して、鉱物中の水の存在様式と分布およびその存在量を検討するため顕微FTIR法によって実験を進めてきた。存在様式についての検討には大きな進展はなかったが、その分布については従来指摘されていたように、粒界に多く存在することを確認すると共に、一つの岩石中の同一鉱物でも鉱物粒が違うと水の存在量がかなり違うことを見いだした。水の存在量の定量化は、水の変形に及ぼす効果を考えれば、きわめて重要である。この定量化を実現できる方法の開発に大きな進展を見た。石英中の水に関連する赤外吸収スペクトルの強度は石英試料の厚さに比例して強度は大きくなる(ランバ-ト・ベ-ルの法則)が、結晶方位に対する異方性が強い。このため岩石薄片中の石英の方位を決定しないと水の量の定量は実際上できない。そこで、"水"に関係ないと考えられているスペクトルの強度変化を使って試料石英の厚さと方位を決定する方法を開発中で、現在まだ問題点があるが、任意の方位と厚さの石英中の水の定量が可能になると考えている。 変形様式には塑性変形と脆性変形があるが、この両方の変形を受けたと考えられる組織を持つ岩石中の石英の研究を開始した。試料は中央構造線沿いの花崗岩類で、岩石薄片の光学顕微鏡観察と粉末X線法による回折線幅の解析から、岩石の受けた変形史と石英の歪量の変化を考察した。その結果、石英の歪量の変化が、鏡下観察による岩石の変形組織より考えられる二回以上の変形時期と、金属学や材料科学の領域でよく知られているホ-ル・ペッチの関係式を考慮することによって合理的に説明できることが明らかになった。さらに、これらの石英試料の顕微FTIR法による水の存在様式・分布と存在量の検討と変形時の水の役割を考察する予定である。
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