研究概要 |
走査型LEED顕微鏡は表面の格子欠陥や畢原子層のステップを100A^^°の分解能で觀測できる。一方,走査型トンネル顕微鏡(STM)は原子のオ-ダ-の分解能で表面の原子配列や欠陥を觀測できる。本研究はSTMと超高眞空走査型電子顕微鏡(UHVーSEM)とを組合せて,それぞれの特徴を活かし,またそれぞれの欠点を補う裝置として完成することを目的とした。本年度の研究では次のような実績をあげることができた。 1。UHVーSEMに組込めるSTMの完成 UHVーSEMに有機的に組込めるSTMを完成し,UHVーSTMとしての基本的な性能試験を行った。この裝置は極めて安定に動作し,Si(111)7×7,Si(100)2×1構造の原子配列像を見事に撮影した。 2.Si(100)ーPtーC(6×4)構造のSTMによる解析 Si(100)PtーC(6×4)構造は我々の研究室でLEEDの実験で発見した構造である。この構造をUHVーSTMでしらべ,Ptの-原子層膜の原子配列と下地構造との相関を明らかにした。(Surf.Sci.に投稿予定) 3.Si(100)上の金属アイランドの電流によるマイグレ-ションの発見Si(100)上の金属アイランドは下地Siに電流を流すと移動することをUHVーSEMで觀測した。この移動は金属によって,電流方向又はそれと逆方向に移動するものがあり,径が大きい程移動速度が大きい。この原因は半導体と金属界面のショットキ-障壁につくられる電荷と電場の相互作用であると解釈した。(Phys.Rev.Lett.に投稿) 4.炭化物表面上の畢原子層グラファイトの電子構造のSTMによる解析TiC(111),TaC(111),HfC(111)上に成長した畢原子層グラファイトと下地結晶との間の化学結合による電荷移動をSTMで原子の分解能で觀測し,STMの界面の研究に有効性を示した。(Surf.Sciにin press)
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