研究概要 |
走査型LEED顕微鏡,走査型トンネル顕微鏡及び高分解能電子エネルギ-損失分光を組合せた装置を開発し,固体表面の構造や格子欠陥を直接観察し,表面物性との関連を明かにした。3年間の研究成果は多岐にわたるが,その概要は次の様になる。 (1)炭化物軍結晶上の軍原子層グラファイト 遷移金属の炭化物軍結晶上に成長した軍原子層グラファイトの高分解電子エネルギ-損失スペクトルから,軍原子層グラファイトの表面フォノンの分散を測定し,下地と軍原子層グラファイトの結合定数を求め,この系の異常な結合状態を発見した。 (2)Si上の金属模の初期成長過程 Si(001)又はSi(111)清浄表面上の金属のエピタキシャル成長の初期過程をLEED,AES,走査型LEED顕微鏡,STMでしらべ,Ni,Pt,Al,Cu,Pd,Pなどについて新しい超周期構造を発見し,その電子構造,結晶構造を明らかにした。又Auについては表面の振動拡散を発見した。 (3)走査型LEED顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡との複合化 STMと走査型LEED顕微鏡を複合化することにより,表面構造は原子の分解能で解明できるようになった。この結果,炭化物上の軍原子層グラファイトの下地との結合状態が原子の分解能で直接観察できた。またSi(001)のシングルドメインからダブルドメインの相転移の機構を明らかにした。 (4)Si(001)上の金属アイランドのエレクトロマイグレ-ション Si上の金属アイランドのエレクトロマイグレ-ションの方向は金属によって異る。この駆動力の超源はペルチェ効果で,アイランドの前後の局所的な温度差で,島は表面張力の影響で高温側に移動することを明らかにした。これらの成果は20編の論文として発表された。
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