1.油/水界面における電気振動現象 油/水界面系に電流クランプあるいは電圧クランプ刺激を加えた場合の振動現象の挙動を調べた。すなわちU字管の底にニトロベンゼンを入れ、片側には0.5Mの食塩水を他の側には0.25mMの界面活性剤オレイン酸ナトリウム水溶液とプロパノ-ル混合液を入れ、これに直流定電流を流した場合の電圧振動応答、また直流定電圧をかけた場合の電流振動応答を測定した。その結果、電流刺激も電圧刺激も共に大き過ぎても小さ過ぎても振動は見られず、ある適当な範囲の値(電流の場合10^<-10>A前後、電圧の場合50mV前後)の場合に限って安定した振動が継続することが分かった。振動の周期は10分程度、振動の継続時間は4時間にも及んだ。またこの電気振動現象を界面活性剤分子の油中での逆セミルと関連させて説明することを試みた。 2.界面活性剤を含浸させたニュ-クリポア膜の興奮現象 界面活性剤を含浸させたニュ-クリポア膜を5mMと100mMのKC1水溶液の間に入れ、これに電流パルス(パルス幅1ms)を流すとパルスの高さがあるしきい値を越す場合に1s程の幅をもつ興奮電位が発生することを見出した。この興奮電位の発生と共に膜の抵抗が減少すること、また興奮電位の波形は大きな刺激電流に対しては階段状の構造になることなどが明らかになった。
|