連続突き合わせ超音波溶接に関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01420021
• 研究機関: 神奈川大学
• 研究代表者: 辻野 次郎丸 神奈川大学, 工学部, 教授 (20078299)
• 研究分担者: 遠藤 信行 神奈川大学, 工学部, 教授 (20016801)
• キーワード: 超音波溶接 / 突き合わせ超音波溶接 / 大容量超音波振動源 / 大電力超音波増幅器 / 超音波振動源の整合 / アルミニウムの接合 / 異種金属の接合 / 強力超音波応用

研究概要

本研究は、超音波溶接の優れた特性を生かして、従来より更に大型の同種および異種金属、セラミックス等の溶接試料の接合、板材等の連続突き合わせ超音波溶接を可能とし、より自由度の高い安定な接合の実現を目的としており、本年度は以下の項目等につき試作・検討を行った。
(1)最適駆動条件の検討:強力な超音波振動源を効率よく駆動するために、超音波振動系を振動振幅10μm程度まで駆動した状態で力率補正用インダクタンス、キャパシタンスを変化させ振動振幅、実効電力、力率特性等を測定し、大振動振幅での最適駆動条件の検討を行った。
(2)強力な超音波振動源・突き合わせ超音波溶接装置の実現:振動周波数15kHzの直径50mmのボルト締めランジュバン形PZT振動子を径方向ー縦振動方向変換体を用いて8本集積した、従来の19kHzの超音波振動源の約2倍の容量を有する強力な超音波振動源を用いた溶接装置を試作し、50kWの静電誘導形サイリスタ電力増幅器により駆動し、板厚6mm、幅50mm以上のアルミニウム板等の接合を実現した。
(3)大電力容量の超音波用電力増幅器の実現:静電誘導形サイリスタを用いた最大出力パワ100kWの超音波電力増幅器を試作して、LCRの直列共振回路を用いた疑似負荷を用いて周波数30kHzで実効出力100kWを確認した。制御回路、超音波振動源・負荷との整合等については更に検討中であるが、従来の固体化した超音波電力増幅器(トランジスタ使用)が最大で10kW程度の電力容量であったのに対して約10倍の電力容量を有する超音波電力増幅器を新開発の静電容量形サイリスタを用いることにより実現した。試作した電力増幅器の本体(出力トランス、整合回路を除く)は800*800*1,835mmである。
(4)溶接状態の実時間での検出を目的として突き合わせ溶接部からのアコ-スティックエミションの検出等の基礎的検討を行った。

研究成果

• [文献書誌] J.Tsujino,T.Ueoka: "Ultrasonic Butt Welding of Aluminum,Anticorrosive Aluminum and Copper Plate Specimens" Proceedings of IEEE 1988 Ultrasonics Symposium. 493-496 (1989)
• [文献書誌] 辻野次郎丸: "超音波溶接技術" 電子情報通信学会誌. 72ー4. 452-457 (1989)
• [文献書誌] 辻野次郎丸: "超音波溶接の現状と課題" 日本音響学会誌. 45ー5. 409-415 (1989)
• [文献書誌] J.Tsujino,T.Ueoka and S.Tsuboi: "Driving of An Ultrasonic Butt Welding System by A Large Capacity Power Amplifier and Its Welding Characteristics" Proceedings of Ultrasonics International 1989. 274-279 (1990)
• [文献書誌] J.Tsujino: "A Review of New Industrial Applications of High Power Ultrasonics in Japan(Invited Paper)" Proceedings of Ultrasonics International 1989. 346-353 (1990)
• [文献書誌] J.Tsujino,T.Ueoka,Y.Yanagihara,H.Daigo,S.Tsuboi and Y.Fukazu: "Ultrasonic Butt Welding of Anticorrosive Aluminum and Copper Plate Specimens" Jpn.J.Appl.Phys.28ー1. 140-142 (1989)
• [文献書誌] J.Tsujino,T.Ueoka and S.Tsuboi: "Driving and Welding Characteristics of An Ultrasonic System Using A Large Capacity Power Amplifier" Jpn.J.Appl.Phys.29. 493-496 (1990)