研究概要 |
前年度から今年度にかけて準備・確立を進めてきた単段式ガス銃並びに飛しょう体速度計測システムを活用して本格的な実験を開始した。すなわち,微小液塊の高速飛しょうによる液滴群の生成とその材料表面への高速衝突過程に関する光学観察並びにその結果タ-ゲット(アルミニウム)に生じる損傷面の観察を行った。この実験は,いわばパルスウォ-タ-ジェットの範ちゅうに属し,ジェットの進行に伴う気液界面の不安定によって形成,分散される液滴の衝突が壁面損傷に及ぼす影響を明らかにすることが目的となっている。重量1.15gのプラスチック製サボの上部の溝にトラップされて運ばれる約70mgの蒸留水はサボストッパ-で分離して,水塊のみがストッパ-中央の細隙を通って慣性力のため真空状態にある試料室内を距離365mm走ってタ-ゲットに衝突した。イメコン超高速度カメラによる光学観察から,衝突直前のこの液塊の飛しょう形状はサボ飛しょう速度に依存しており,低速ほど先端が細い三角形状であり,さらに高速では先端形状が次第に平らになることが明らかになった。損傷ピットはもちろん高速の場合ほど多数存在し,低速ではまばらであること,またピットの平均深さにも明確な速度依存性が認められたが,一方,損傷面積それ自体は実験の範囲内(600〜900m/s)ではほとんど変化のないことが分った。さらに,水に真ちゅう粉を混合した場合の壁面損傷状況はアブレシブジェットによる研削能力の著しい増大を示唆する激しいかい食模様であった。以上の結果は,本年7月に開催される第7回ウォ-タ-ジェット研究発表講演会にて発表予定である。
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