研究概要 |
従来から我々が進めてきた多孔性固体を用いた燃焼促進技術を燃料過濃条件の予混合火炎に応用することにより,炭素固定化燃焼が炭酸ガス排出低減にかなり有効であることが明きらかとなった.具体的には,メタン・空気予混合火炎の燃料過濃限界(当量比φ=1.69)以上の当量比φ=3.5程度まで燃焼限界を拡張させることに成功し,予混合気中の炭素量から燃焼ガス中の炭素含有量を差し引くことにより求められる炭素固定化率は20%であった.この値は従来の予混合燃焼法ですすを生成することがほとんど不可能であったことを考えるときわめて大きな値であるといえる.さらに,火炎構造を明らかにするため,詳細な温度分布測定,既設の可視・赤外分光高度計による輝炎のふく射特性の測定及びGCーMS(ガスクロマトグラフ・質量分析計)によるすす生成に関与する中間生成物の同定や濃度分布の測定を行った.それによると,予混合気はふく射エネルギ-循環によって十分予熱された後,燃焼室に流入する.燃焼室の内部では,流入したメタンと酸素の発熱反応により温度が上昇すると共に,中間生成物が生じ,濃度が最高になる.発熱反応帯の下流側では,急激に温度が低下すると同時に,輝炎が呈し始める.これはすす自体が多孔性固体のようにふく射変換体としての機能を有しており,すすからのふく射エネルギ-が上流側へ輸送されるため,およびすす生成による吸熱反応が生じているためであると考えられる.一方,輝炎帯でのふく射強度及び中間生成物の濃度分布は,ほぼ一定となることが明らかになった.そこで,これらの実験デ-タを基に炭素固定化過程を気相から固相への,アレニウスの反応速度則に従う一種の凝集現象であると仮定したモデルを構築し,エンジニアリングワ-クステ-ションによる解析を進めている.
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