研究概要 |
結晶異方性半導体の一種である不規則超格子を、AlGAs系半導体を用いて作製した。障壁層、井戸層、のエネルギ-バンド幅を変えることにより、結晶異方性の度合いを変え、これにより発光特性が如何なる変化をして行くかを調べた。作製した試料は、(Al_×Ga_<1-x>As)_m(Al_yGa_<1-y>As)_nでm,n=4の規則超格子と、m,n=2,4,6で、その2,4,6の値が全く不規則に現れる不規則超格子を作製した。ただし2,4,6の値のいずれが現れるかの確率は同じである。したがって規則超格子と不規則超格子の巨視的な化学組成が等しいが、微視的な原子配列は異なるものである。(x,y)の値として(1,0.4),(1,0.25),(1,0.1),(1.0),(0.8,0),(0.4,0)の6種のもの、それぞれ規則、不規則超格子について作製し、すべてに対して、温度10Kから温度上昇に伴う光発光の変化を調べた。この研究により、新たに得た知見は、1.光発光スペクトラム波形については、規則超格子はすべて単峰性であるが、不規則超格子では、(1,0.4),(1,0.25)を除いて複数のピ-ク値から成り、またその波形の半値幅が広く、温度に対して複雑な変化をする。2.温度上昇に対して、不規則超格子の光発光強度の減衰が、規則超格子に比べて緩やかである。3.同じ(x,y)の値をもつ規則超格子の発光波は長波長側にずれる。(x,y)が異なるが、同じ発光波長に比べても、不規則超格子の方が、大きい差の所で100倍以上強く光る。以上の結果により、本研究の目的である発光機能の優れた半導体を、結晶異方性により実現すると云う初期の目的を達することができた。発光波長は20〜80Kで620nmであるが、常温においても短い波長を得ることが今後の課題である。他方Si/Geでは、新しい試みとしてSnを表面活性材料として用いることにより、SiとGeの急峻な界面を実現するきとに成功した。この新しい活性材料の使用により、Si/Ge系の研究をAlGaAs系同様に進めることができるようになった。
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