研究課題/領域番号 |
01420027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甘利 俊一 東京大学, 工学部, 教授 (80010726)
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研究分担者 |
吉沢 修二 東京大学, 工学部, 助教授 (90010959)
中野 馨 東京大学, 工学部, 助教授 (30010953)
鈴木 良次 東京大学, 工学部, 教授 (80013811)
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キーワード | 神経回路モデル / 並行処理 / 自己組織化 / 連想記憶 / スパ-ス・エンコ-ディング / バック・プロパゲ-ション / 時空間パタ-ン / 記憶容量 |
研究概要 |
平成元年度における研究は、まず現在までに明らかになっている神経回路網のダイナミクスや情報表現機構の自己組織化能力を基礎にして、脳内で使われている可能性のある情報表現形式に対して、論理的手法と数値計算的手法によって検討を加えた。 脳の中では、一群の細胞の発火パタ-ンによって情報が表現され、それが研究分担者のひとりである中野らによって提案された並行計算による連想記憶モデルに近いメカニズムで処理されているとする説が有力視されている。連想記憶モデルを構成する細胞の数と、そのモデルに記憶できるパタ-ンの数との関係を明らかにすること(記憶容量の問題)は、連想記憶モデルに関する最も基本的な問題である。本年度の研究の結果、連想記憶モデルの記憶容量は、細胞の発火率に依存すること、スパ-ス・エンコ-ディングを用いたとき(発火率が低いとき)、記憶容量が非常に高くなることが判明した。また細胞数が一定ならば、モデルに蓄えられる総情報量(記憶できるパタ-ンの数×一個のパタ-ンに含まれる情報量)も、発火率が低いほど多くなるという意外な結果も得られた。この結果を応用して三層神経回路網の持つパタ-ン分類能力に関する新しい試価を得ることができた。 つぎにフィ-ド・バック結合を持つ三層回路に、バック・プロパゲ-ション法によって動的パタ-ンを学習記憶するモデルを構築し、このモデルの性質をシミュレ-ションによって確認した。 このようにして得られた基標的な結果をいかして、具体的な制御系を設計し、これによっておこなわれる腕の制御と、実際の人間の腕の制御を比較し従来のモデルには見られない良い一致を得ている。この結果は将来ロボットア-ムの設計をおこなうとき非常に役立つはずである。
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