研究概要 |
1)前年度までの研究成果から、浮体型巨大海洋構造物の方向スペクトル波中の動的応答のうち、全体としての運動応答は一般に小であり、動的異常応答は弾性応答に主として現われるであろうことが予測された。そこで本年度研究では、弾性応答に主眼点を置いた実験を行なった。 2)模型の長さ方向の曲げ剛性を変化させ、固有周期が同調する範囲の波成分をもつ方向スペクトル波および長波頂不規則波中で実験した。 3)このような場合、浮体の剛体としての全体運動に弾性応答が重畳した運動となるが、本研究の場合、剛体運動は極めて小であるので、弾性応答のみの場合に近い現象さなった。 4)弾性応答は固定周期と波周期の同調現象として、顕著に現われるので、外力に比し異常に高い応答となる。 5)甲板上の点の上下動の応答は複数のモ-ドが波によって同時に励起されるので、それらの位相関係から、増大あるいは相殺される位置があり、予想以上に複雑な特性である事が判った。 6)今年度の研究成果として、巨大海洋構造物の波浪中異常応答に関して、弾性応答が剛体としての運動応答より以上に重大になる可能性があることが判明した。 7)今年度の実験は平成元年度購入の海洋構造物半弾性模型を改良して実施した。測定および解析には平成元年度,2年度購入の機材と共に本年度購入の多点三次元動的位置測定装置が活用された。その結果、ほぼ実時間で模型上の多点の運動応答および弾性応答の時系列およびその統計解析,スペクトル解析を行ない、グラフ化し、その時間変化も画像として得られるようになり、速応的により適格な考察が可となり、実験解析の質の上向と高能率化が達成できた。
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