研究概要 |
1関東平野とその周辺地域におけるやや長周期地震動の群列観測網の改良 観測網の整備については東京湾沿岸への観測点の移設が果せず、結局昨年度整備させた状態の観測網で地震観測を実施している。本研究課題終了後も観測点の移設など観測網の改良は継続していく所存である。今年度観測された主な地震としては、東京都東部('92/4/10,M:4.9,D:89km)伊豆大島近海('92/10/4,M:4.6,D:31km)釧路沖('93/1/15M:7.8,D:107km)、能登半島沖('93/2/7,M:6.6,D:25km)の地震などがあったが、釧路沖と能登半島沖の地震の際のほかには顕著なやや長周期地震重は観測されなかった。 2電源持性と地下構造を考慮したやや長周期地震動の持性評価手法の開発 人工地震探査などにより得られた関東平野南西部の堆積地下構造をモデル化し、平野端部での観測地震動を入力して、堆積層内でのやや長周期地震動を膜擬することが出来た。一方、震源特性に関して、やや長周期地震動が比較的卓越する傾向にある伊豆大島周辺の浅い地震群についてその特性を再検討した結果、やや長周期地震動が顕著とはならない地震も存在しており、震源特性の一つとして震源の地域性も重要であることが示唆された。また、堆積地盤上で顕著なやや長周期地震動が観測された地震では、 (1)先第3紀の岩盤上(浅川)でもS波主要動部分にやや長周期成分が顕著である、 (2)第3紀の岩盤上(江ノ島)ではS波主要動部分とそれに連続する後続位相としてやや長周期成分が認められるなど、震源において既にやや長周期成分が優勢であり、相模湾を伝播する過程において表面波として成長している事が知れた。そこで相模湾の地下構造もモデル化し、震源パラメータに基づきやや長周地震動を評価したところ、継続時間において満足な評価が得られなかった。その原因として、相模湾の地下構造のモデル化の問題もあるが、震源パラメータだけでは予測困難な震源特性があり、観測記録に基づく半経験最手法との結合を考えている。
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