メチレンシクロプロパンは、その高いひずみエネルギ-(40.9Kcal・mol^<-1>)により容易にアリル共役を有するトリメチレンメタンに開環し、ひずみを解消する。一方、硫黄類似体であるアレンエピスルフィド(メチレンチイラン)、シクロプロパンチオンは、チオキシアリル体を介して異性体の関係にある。本研究は置換基としてアリル基を有するアレンエピスルフィドを合成し、その反応性を検討した。特に酸触媒における反応は転位、環化反応を経て、安定なシクロペンテンチオンの生成が見出された。1.2ージチオン類は、隣接した二つのチオカルボニル基を有する特異な複素小員環化合物として注目されている。かさ高い置換基を有する縮合環1、2、3ーセレナジアゾ-ルおよび1、2、3ーチアジアゾ-ルと単体硫黄およびセレンとの反応により各種の新規な環状ポリスルフィドおよびポリセレニドを安定な結晶として単離した。これらの化合物の光反応による脱カルコゲン化を検討した結果、容易に脱硫あるいは脱セレン化セレン化が進行し1、2、ージチオンおよびそのセレン類似体を生成することまた種々のオレフィンを捕捉材として共存させた場合に効率よくその環状付加反応生成物を与えること、1、2、3ーセレナジアゾ-ルの熱反応によっても、4ーtーブチルー1、2、3ーセレナジアゾ-ルをセレン源として用いることで、中間に1、2ージセロンの生成が可能であることがわかった。さらに、その関連化合物の光分解に関し低温マトリックス法を用いた電子スペクトル測定による反応追跡を行い、反応初期に生成する中間体の構造に考察を加えた。特に1、2、5ーチアジセレノ-ルの系は、溶液中での光反応で見られた競争的脱硫および脱セレン化反応の共通の中間体と考えられるスピロチアセレニラン構造を有する新規な反応活性種の存在を示唆する結果が得られた。
|