研究概要 |
環状ポリスルフィドはその高い生理活性と興味ある物理的の性質のために大変注目されている。最近、セレナジアゾ-ルと単体硫黄をまぜて、120〜125゚に加熱したところ、通常の生成物、1,2,3ートリチオ-ル及び1,2,3,4,5ーペンタチエピンと同時に1,2,3,4,5,6,7,8,9,10ーノナチアシクロウンデセンが得られた。このものはXー線結晶回析により確認された。又、1,2,3ートリチオ-ルの二量体が得られている。ノナチアシクロウンデセンの構造はS_<12>のスタッキング構造と類似している。一方トリエンは単体硫黄との反応でペンタチエパンの生成がある。この反応を更に発展させ、シクロドデカヘキサエンと単体硫黄との反応は硫黄が5個、橋かけ状態でつながった化合物を生成する。DBUの存在ではこのものは得られず、シクロペンテンチオンを生成する。これらの構造はいずれも、Xー線構造回析によった。これらの反応の違いはラジカル及びイオン反応の違いによるものと見られる。S_5の橋かけ化合物は単体硫黄の存在で室温で平衡関係にある。2原子硫黄の生成は、酸素と比較する上で大変重要な活性種である。アントラセンエンドジスルフィドの生成は、2原子硫黄を発生させる前駆体となりえると考えられ、その合成を検討した。9,10ージチオ-ルをベンズアルデヒドで処理し、Mcpba酸化後、酸触媒処理すると、不安定なエンドジスルフィドを生成する。このものは残念ながら単離することが出来なかったが、ブタジエンの存在で、2原子硫黄が移動した1,2ージチンを得ることができた。
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