研究概要 |
今年度の研究は主に原子間力顕微鏡(AFM)によるダイアモンド,黒鉛,SiC繊維,セラミックス表面の原子レベルでの観察と液体金属によるこれら材料の濡れ性の測定を中心に行った。 得られた結果を総括すると以下のようにまとめられる。 一.種々の液体金属による黒鉛,ダイアモンドの濡れ性は同一の金属であっても黒鉛,ダイアモンドの結晶面によって大きく異なることがあきらかとなった。 一.3種類のSiC繊維(SCS2,SCS6,ニカロン)の液体Al合金による濡れ性および反応性を測定した結果,繊維の種類による相違がみられた。 一.液体金属(Sn,Pb,Bi)によるMgO単結晶((100)面,(110)面,(111)面)の濡れ性を測定した結果,液体金属の種類によって濡れ性が異なること,またその濡れ性は結晶の方位に依存すること,さらには濡れ性はMgOの熱処理によって改善されることなどがあきらかとなった。 一.同一の材料であっても濡れ性はその表面の性質の相違によって異なることがあきらかとなったが,この点を解明するために原子間力顕微鏡を用いて種々の材料の表面を原子レベルで観察した結果以下のような興味ある結果を得た。 各材料の表面構造はバルク構造とは大きく相違すること,バルク構造が変化しないような低温においても表面構造の再配列がみられること,濡れ性の結晶面による相違はこのような表面構造の変化によって説明できることなどがあきらかになった。
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