研究概要 |
1)Mg基非晶質合金で最も広い過冷却液体領域が期持されるMg_<65>Cu_<25>Ln_<10>(Ln=Y,La,Ce,Nd,Sm,Tb,Gd)合金開発を行い、75Kと高い過冷却液体領域を持つMg_<65>Cu_<25>Tb_<10>合金を見い出した。 2)Mg_<65>Cu_<25>Tb_<10>合金を銅鋳型に鋳造する方法により非晶質バルク材にすることに成功した。これの粘性はガラス遷移温度以上で急激に減少し、結晶化開始温度までの過冷却液体域で10^7Pa・s程度の値を示した後、結晶化によって10^<13>Pa・sまで急激に増大することが分かった。 3)さらに高い過冷却液体領域を持つ非晶質合金の開発を行い、ZrーAlーTM(TM=Fe,Co,Ni,Cu)3元系合金においても、広い過冷却液体を持つ非晶質合金を見い出した。しかも、これらの3元合金を多元化するZr_<65>Al_<7.5>Cu_<2.5>(Co_<1-X-Y>Ni_XCu_U)_<25>系において0〜3%Co、0〜15%Ni,10〜23%Cuの組成域で過冷却液体領域(△Tx)が100K以上と高い値を示すことを見い出した。△Txの最大値はZr_<65>Al_<7.5>Ni_<10>Cu_<17.5>で127Kであった。 4)希土類金属の中で強磁性を示すGdを主成分とするGdーAlーNi系三元合金の開発に成功した。ガラス遷移は10〜35Ni、10〜35Alの組成域で観察され、Gd_<55>Al_<25>Ni_<20>で65Kと高い過冷却液体領域を示すことを見い出した。 5)前年度でLa_<55>Al_<25>Ni_<20>非晶質合金の動的機械性質を調べ、損失弾性率(E')はガラス遷移域の509Kにピ-クを、491Kにサブピ-クを示すことを明らかにした。本年度は、これらの損失ピ-クのより詳細な現象とその機構を明らかにした。そのひとつとして、異なった周波数で測定した貯蔵弾性率(E")およびE"の温度依存性は、周波数が減少するに従い、E"のピ-クは低温側に移動し、明瞭に二つのピ-クが現れることから、ガラス遷移時には二つの緩和過程があることを明らかにした。
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