研究課題/領域番号 |
01430015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒井 弘通 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (10011024)
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研究分担者 |
町田 正人 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (70211563)
江口 浩一 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (00168775)
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キーワード | 固体電解質 / イオンプレ-ティング / スパッタリング / スリップキャスティング / 安定化ジルコニア / スプレ-パイロリシス / ランタンクロマイト / 光導波路 |
研究概要 |
平成2年度は電子伝導性およびイオン伝導性セラミックス積層膜型を固体電解質燃料電池へ応用する際の構造、作製法および性能に関して検討を行った。前年度の研究において、イオンプレ-ティング、スパッタ法による物理的薄膜製造において緻密性や多孔性の制御法の重要性が明らかになったので、今年度は膜微細構造制御に有効な化学的方法による薄膜作製を試みた。スリップキャスティングは比較的容易な上、緻密かつピンホ-ルの無い安定化ジルコニア膜作製に有効である。この方法の特長は100μm程度の膜厚の自己支持型膜の作製が可能な点にあり、カソ-ドおよびアノ-ドを塗布することにより、高い発電性能が示された。金属アセチルアセトン錯体溶液を原料に用いたスプレ-パイロリシス法も安定化ジルコニア固体電解質薄膜の作製に有効であった。従来の方法では緻密な膜を得るのに1200℃以上の高温を必要とするのに対し、この方法では1000℃の低温で、緻密膜の作製が可能となった。また、前年度で問題となった電解質/電極界面における剥離の問題は、発電特性の劣化をもたらすため、材質の熱膨張率を調節することにより解決を図った。一方、積層型燃料電池において単独セル間を接続するインタコネクタに必要となる耐還元性、電子伝導性に優れたセラミックス薄膜の作製に開してイオンプレ-ティングおよびスパッタリング法により検討した。特にイオンプレ-ティング法によって作製したランタンクロマイト系薄膜は1000℃の水素気流中でも使用可能な耐還元性に優れることが分かった。薄膜の評価においては本年度購入設備である高温X線回折装置はその結晶化過程や熱劣化過程を解明するのにきわめて有効であることが明らかになった。この他、光機能薄膜としてゾルゲル法によって調製したSiO_2ーTiO_2系薄膜光導波路を作製しセンサへの応用を検討した。また、導波光制御に利用可能なLiNbO_3の作製に関して基礎的知見を得た。
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