研究課題/領域番号 |
01430024
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
阿久津 秀雄 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (60029965)
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研究分担者 |
河合 剛太 横浜国立大学, 工学部, 助手 (70211860)
仁木 克己 横浜国立大学, 工学部, 教授 (00017899)
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キーワード | チトクロムC_3 / 電子伝達 / 電子移動反応 / ^1HーNMR / 電極界面反応 / 遺伝子のクロ-ニング |
研究概要 |
本年度も実施計画に沿って、研究はおおむね順調に進展した。本年度は昨年度の本研究費を基礎として導入された400MHzNMR装置が本格的に動き出し、特にNMRを用いた研究で大きな成果が上った。上記装置の導入により二次元NMRスペクトルが測定可能となったため、これと核オ-バ-ハウザ-効果(NOE)によるヘム由来のシグナルの帰属が進んだ。ここでは本年度購入した電圧増幅器、周波数スイ-マ-、周波数カウンタ-が役に立っている。ヘムシグナルとその近傍のアミノ酸シグナルの帰属を基に、各ヘムシグナルと結晶構造上のヘムとの対応関係を確立することに成功した。これにより、各ヘムの酸化還元電位とその変化を分子の三次元構造を基礎に議論することが可能になった。又、昨年度確立した化学培地に重水素化チロシンを加えることにより、チトクロムC_3のチロシン残基を選択的に重水素化することに成功した。その結果、チロシンの芳香環由来のプロトンシグナルを明確に帰属することができ、その性質を部分的に調らべた。分子内ヘム間電子移動速度についても中間還元状態での線幅を解析することにより検討した。その結果、ヘムにより電子の滞在時間が1桁程異なっていることが明らかになった。また、フエニルアラニンとチロシンのシグナルを照射してNOEを見ることにより、そのまわりに存在する化学基を同定する試みを進めているが、これについてはまだ確定的な結論が出るに至っていない。現在、最も難行しているのがチトクロムC_3の遺伝子の大量発現である。本年度は大腸菌、酵母でこれを発現させるべく努力したが、その発現量は著しく低く、実用的段階に到っていない。今後、他の菌をも使って、よりよい発現系の探索を進める。電気化学ではグラファイト電極表面に吸着したチトクロムC_3の電極反応を電位変調可視反射分光法を用いて解析した。その結果、グラファイト上では構造の変化が見い出された。
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