研究課題/領域番号 |
01440004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 統 東京大学, 理学部, 教授 (70012482)
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研究分担者 |
山下 哲郎 東京大学, 理学部, 助手 (20202377)
藤原 晴彦 東京大学, 理学部, 講師 (40183933)
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キーワード | アブラムシ / 細胞内共生体 / シンビオニン / groEL / アミノ酸配列 / chaperonin / グルタミン代謝 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
1.大腸菌のgroEL遺伝子断片をプロ-ブに用いて、アブラムシの共生体DNAの制限酵素断片を検索した結果、シンビオニン遺伝子を含むと思われるポジティブなバンドを得た。この結果は、シンビオニンが共生体によってコ-ドされている可能性を強く示唆する。この断片をクロ-ン化し、現在、塩基配列の決定を行ないつつある。 2.精製したシンビオニンのN末端およびそのリジル・ペプチダ-ゼ断片の一部のアミノ酸配列をエドマン分解法により決定した。この結果明かになった80残基のうち、少なくとも76残基までは、シンビオニンはgroELと一致していることがわかった。 3.シンビオニンはgroEL同様、ATPase活性をもつことも明らかになったが、抗groESウサギ抗血清を用いた検索結果は、共生体はgroESを欠くことを示唆し、シンビオニンは細胞小器官のchaperonin同様、単独で機能しているのもと考えられた。 4.抗シンビオニン・ウサギ抗血清を用いた免疫組織化学によって、シンビオニンは菌細胞内の共生体内に限って存在すること、さらに、共生体内においては、細胞内超構造と共に一種のネットワ-クをなして存在することが示唆された。 5.植物師管液およびアブラムシの排出する甘露中のアミノ酸組織の分析から、共生体はホストの昆虫の行なえないタイプのグルタミン代謝を行なって、ホストに寄与していることが示唆された。 6.抗シンビオニン抗血清によるイムノブロット法ならびに免疫組織化学からは、亜社会性の兵隊アブラムシの中には細胞内共生体を欠くもののあることが推察された。
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