本研究では、金南風突然変異系統約100種類を選抜・育成し、圃造裁培して、開花特性、草型、収量などの変異と共に穀実の貯蔵蛋白質含量、貯蔵蛋白の高速液体クロマト(HPLC)及び電気泳動のパタ-ンなどを東南アジアなど多くの品種と比較調査した。得られた結果は次の通りである。 1、金南風変異系統の穀粒蛋白含量は6%レベルの低蛋白から10%レベルの高蛋白までの変異が、蛋白質中のリジン含有率は2.6%〜4.2%までの変異が各々認められた。これら変異系統の穀粒蛋白含量と収量の間には弱い負の関係が(r=-0.536)、また蛋白含量とリジン含有率との間にも負の関係が認められた。 2、登熟期における葉の老化、或いは葉の蛋白分解が穀実中の蛋白レベルを規定するという考えに基づいて、葉の老化阻止剤として人工サイトカイニン(TGー19)及びトリアコンタノ-ルを散布すると、穀粒蛋白レベルの低下と収量の増加が認められた。 3、穀実蛋白(アルブミン)のHPLC及び電気泳動パタ-ンの分析では、HPLCのピ-ク並びに電気泳動のバンド型を異にする約14種のサブユニットが検出され、これらの蛋白サブユニットは各金南風変異系統に特有なパタ-ンを示すこと、またこれらサブユニットの中で高リジン蛋白の存在も認められた。 4、東南アジアイネ及びアフリカイネ等約400品種について穀粒蛋白含量を調査してみると、4%レベルの低蛋白から12%レベルの高蛋白品種まで多くの変異が認められた。またこれら貯蔵蛋白の電気泳動パタ-ンにも各品種に特有なバンドの存在が認められた。
|