平成2年度では日本型イネの蛋白突然変異系統、イタリ-品種、東南アジア、アフリカの各地における多くの品種・系統を育成、栽培し、一部は穀実の貯蔵蛋白含有量、リジン含有量と共に蛋白の電気泳動パタ-ン、高リジン蛋白の分離精製、収量と共にアミロ-ズなど精米の食味に関する分折及び感能テストを行った。結果は次の通りである。 (1)コシヒカリに比べて高蛋白ー良食味系統2種類、低蛋白ー良食味系統1種類、高蛋白ー低食味系統数種類を育成、分離することができた。 (2)高蛋白高リジン系統の多くは低収量であり、次年度の栽培方法に問題を残した。 (3)高リジン蛋白系統から、液体クロマトグラフィ-、液体等電点電気泳動法(ロトフォア)、スラブ型電気泳動などの方法により高リジン蛋白をある程度まで分離精製することができた。この精製高リジン蛋白は10%のリジンを含んでいることも確められた。 (4)カンボジア、ミヤンマ-、インドネシア、タイ、バングラディシュにおけるアジア型とアフリカイネ合計約500種について、貯蔵蛋白の電気泳動パタ-ンを比較してみると、まず、アジア型では13KDのaとbに相当するバンドに多くの変異を示す品種が見い出されており、またアジア型(Oryza sativa)とアフリカイネ(Orysa glaberrima)の比較では特にアフリカイネには15KDaに相当する特異的バンドが存在することが確められた。
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