平成3年度では平成2年度で選抜、育成した日本型イネの蛋白突然変異系統、イタリ-品種、約22種類を育成、栽培し、一部は穀実の貯蔵蛋白含有量、リジン含有量、収量構成要素、籾収量、開花期、穂長、各節間長、バイオマスなどの測定と共にアミロ-ズなど精米の食味に関する分析及び感能テスト、高リジン米の製パンへの利用について検討した。 (1)高蛋白高リジン系統の多くは低収量であり、これらの品種は穀粒1g当りリジン含有量は高いが単位面積当りリジン収量は低くかった。しかし、平成2・3年を通して高リジン収量を示す系統として平成1年度に選抜したKーCaに加えて、NO.36とNO.48が育成された。 (2)コシヒカリに比べて良食味統として、高リジン・低蛋白一低アミロ-ズ系統として系統番号NO.29.41.46.47.49の5系統を育成した。このうちNO46.49は早生、短稈の耐倒伏性で多収良食味であった。 (3)高リジン系統KーCaの玄米粉を用いた製パン実験では、小麦粉100%に対して30%の玄米粉を加えた場合には、製パン中のリジン含不率を31%増加させることができた。しかし、同時に製パン容積は小麦粉100%に比べて65%に縮少した。しかし、玄米粉入りの製パン時に、0.3%杜仲葉粉+3%CGFを加えた場合には、製パン容積は約90%にまで回複した。 (4)スペイン、イタリ-、タイ、バングラディシュなどのアジア型とアフリカイネ合計約500種について、貯蔵蛋白の電気泳動パタ-ンを比較してみると、スペインイネでは40〜45KDに、多くのアジア型では13KDのαとβに相当するバンドに多くの変異を示す品種が見い出されており、またアジア型(Oryza sativa)とアフリカイネ(Oryza glaberrima)の比較では特にアフリカイネには15KDaに相当する特異的なバンドが存在することが確められた。
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