研究課題/領域番号 |
01440014
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
羽田野 六男 北海道大学, 水産学部, 教授 (80001600)
|
研究分担者 |
佐藤 修 北海道大学, 名誉教授 (70001568)
高橋 是太郎 北海道大学, 水産学部, 助教授 (90125328)
原 彰彦 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40091483)
山内 晧平 北海道大学, 水産学部, 助教授 (10109514)
山田 寿郎 北海道大学, 水産学部, 教授 (60001575)
|
キーワード | サケ科魚類 / 産卵回遊 / 性成熟 / 甲状腺ホルモン / 生殖腺 / 骨代謝 / 脂質代謝 / トリグリイセリッド合成 |
研究概要 |
1)甲状腺ホルモンの生殖腺への取り込み 血中のサイロキシン(T4)とトリヨ-ドサイロニン(T3)濃度は雌雄とも生殖腺指数に関係なく0ー4ng/mlであった。しかし、卵巣および精巣中のT3濃度は成熟開始時期に高値を示したが、成熟が進むと減少した。これらのことは、T3が卵巣および精巣の成熟の開始になんらかの関与をしていることを示している。 2)骨代謝活性の変化 アラスカ湾で採集された個体では、骨形成及び骨吸収とに活発に行われており休止面は全骨表面の10%ほどに過ぎず、骨の盛んな成長がうかがわれた。河口域で採集された個体では骨形成、骨吸収とも活性が減少しており、産卵場で採集された個体ではいずれのの活性も殆ど停止し、休止面が骨表面の大半を占めていた。骨代謝に雌雄差は認められなっかた。以上のことから、海洋生活期のベニザケの骨代謝活性は非常に高く骨成長も盛んであるが、産卵回遊にともないその活性は減少し、産卵時には日ね形成、骨吸収とも殆ど停止することが明かとなった 3)脂質合成能と分解能 脂質合成能は、肝臓尼おいてトリグリセリドの合成能が産卵遡上にともなって著しく減少するのに対し、筋肉においてはその合成能は雌雄ともむしろ増大していた。これは絶食状態にある産卵遡上期には外部からの脂質の供給はなく、一方的に脂質が分解される特殊な脂質代謝の条件下にあることを考えあわせると、筋肉中の極端な脂質欠乏に対する恒常性の発現のためと考えられる。 リパ-ゼ活性を指標とした脂質分解能は、肝臓においては雌雄とも産卵期に増加を示めし、筋肉においては雄は産卵期に増加を示すものの、雌では産卵期にかけてむしろその比活性は低下した。産卵期の筋肉では脂質合成能が上昇、脂質分解能は雄では増大、雌では低下しているが、筋肉脂質量は大幅に低下していることから、筋肉脂質量の変動はやはり脂質分解能の変化が主因であると考えられる。すなわち、産卵期における脂質の総量に及ぼす影響は、合成能より分解能の方が大きいと考えられる。一方、肝臓においては脂質合成能の低下と脂質分解能の増大があいまって脂質量が低下することが示唆された。
|