研究課題/領域番号 |
01440016
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丹羽 晧二 岡山大学, 農学部, 教授 (40089115)
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研究分担者 |
湯原 正高 岡山大学, 農学部, 教授 (20032980)
奥田 潔 岡山大学, 農学部, 助教授 (40177168)
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キーワード | ラット / 前核期卵 / 2ー細胞期胚 / 割球融合 / 電気的細胞融合 / 核移植 / 低温保存 / 初期発生 |
研究概要 |
基礎研究に重点をおき、下記の2つのテ-マの研究を行った。 1.初期分割胚の電気的割球融合に関する研究:ラット2ー細胞期胚に直流パルス(1.0〜2.0kV/cm)を通電し、割球の融合率と融合に要する時間を調べた。1.0kV/cmで50μsのパルスでは融合は困難であり、1あるいは2回付与のいずれにおいても15個の処理胚のうち割球の融合したものはわずか1個(7%)であった。融合率は1.5〜2.0kV/cmの電圧および100〜200μsの通電において最も高くなった(80〜100%)。1.0kV/cmで100〜200μsの条件下では1回よりも2回の連続通電により融合率は高くなったが、1.5および2.0kV/cmでは2回通電の効果はほとんど認められなかった。一方、1.0および1.5kV/cmでは50〜200μsのパルスを2回通電することによって融合時間が短縮されたが、2.0kV/cmでは殆ど短縮されなかった。1.0、1.5および2.0kV/cmで150μs通電された後割球融合の生じた胚を偽妊娠雌ラットの卵管に移植し、3日後に回収した結果、回収卵のうちそれぞれ15(83%)、12(80%)および9個(64%)が桑実期あるいは胚盤胞にまで発生していたが、これら3者間に有意差は認められなかった。 2.低温保存された前核期卵前核の新鮮受精卵への移植に関する研究:一定時間(0〜216時間)低温(2〜6℃)保存されたラット前核期卵の37℃における2ー細胞期胚への発生率を調べた結果、72時間以上保存された卵子の発生率は有意に低下し、120および144時間保存された卵子ではそれぞれ僅かに3個(3.9%)および1個(2.2%)だけが2ー細胞期に分割した。一方、低温保存された卵子の雌雄前核を新鮮な除核1ー細胞期卵に移植した結果、144時間保存までは、再構築卵の37℃における分割率は非常に高かったが(92〜100%)、168時間以上保存された前核を有する再構築卵の発生率は急激に低下した(168時間:50%、192時間:20%)。この結果から長期間の低温保存においても核自体の分割能は失われないことが明らかとなった。
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