研究課題/領域番号 |
01440016
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丹羽 晧二 岡山大学, 農学部, 教授 (40089115)
|
研究分担者 |
湯原 正高 岡山大学, 農学部, 教授 (20032980)
奥田 潔 岡山大学, 農学部, 助教授 (40177168)
|
キーワード | ラット / マウス / 前核期卵 / 核移植 / 細胞質置換 / 電気的細胞融合 / 初期発生 |
研究概要 |
今年度は、異種動物間の卵細胞質と前核との相互作用について検討するために、属の異なるラットとマウスの前核期卵を用い、少量の細胞質の他方の受精卵への導入と前核の相互置換を行い、再構築胚の体外および体内における発生の可能性を調べた。 1.マウス細胞質を導入した39個のラット卵子およびラット細胞質を導入した60個のマウス卵子に1.5〜2.0kV/cmで150μ秒の電気パルスを連続して2回付与した結果、それぞれ11個(28%)および23個(38%)の卵子において細胞質の融合がみられた。これらの融合胚を96時間体外培養した結果、4個(36%)のラット卵子および17個(74%)のマウス卵子が2〜4ー細胞期に達した。ラット卵子は2ー細胞期の段階で発生を停止したが、マウス卵子の30%は3〜4ー細胞期に達していた。 2.相互に種の異なる卵子由来の前核体をマウス(46個)およびラット(37個)の除核卵囲卵腔に導入し、上記と同様の条件の電気パルスを付与した結果、それぞれ20個(44%)および15個(41%)において細胞質体と核体との融合が認められた。これらの融合胚を96時間培養した結果、それぞれ13個(65%)および9個(60%)が2〜4ー細胞期に発生した。しかし、マウス前核を有するラット卵子は2ー細胞期以降に発生しなかったのに対してラット前核を有するマウス卵子のうち3個(15%)は3ー〜4ー細胞期まで発生した。細胞質導入の場合と同様に融合胚の分割は12〜24時間遅延した。 3.上記と同様の方法で作製したマウス細胞質とラット前核からなる再構築胚18個とその逆の組合わせからなる再構築胚19個を18時間培養した。その結果得られたそれぞれ14個と15個の分割胚(2ー〜3ー細胞期)を受卵雌卵管移植した。その2日後に胚を回収した結果、ラット卵子由来の細胞質を有する再構築胚の1個が初期胚盤胞に発生していた。この胚はその後の培養によりさらに脱出胚盤胞にまで発生した。
|