研究課題/領域番号 |
01440016
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丹羽 晧二 岡山大学, 農学部, 教授 (40089115)
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研究分担者 |
湯原 正高 岡山大学, 農学部, 教授 (20032980)
奥田 潔 岡山大学, 農学部, 助教授 (40177168)
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キーワード | ウシ / 未熟卵子 / 卵子成熟 / 老化 / 卵丘細胞 / 体外受精 / 初期発生 / 核移植 |
研究概要 |
牛胚における核移植実験に着手するにあたり、まず体外受精による正常は供試胚を得るために2、3の検討を行い、次のような成果を得た。 1.成熟休止卵胞卵の精子侵入による成熟再開:成熟培地を用いて未熟卵子を12〜20時間培養後、受精培地を用いて精子無添加、あるいは精子とともに24時間培養を継続した。その結果、卵子のMーIIへの成熟率は精子無添加(62〜72%)よりも精子添加(93〜100%)において有意に高かった(P<0.001)。一方、卵核胞期の卵子を受精培地のみで44時間培養するとMーIIへの成熟は困難であった。しかし、成熟培地で20時間培養後に受精培地でさらに24時間精子とともに培養した結果、40%の卵子はMーIIに到達していた。すなわち、第一成熟分裂中期にある未熟卵子においても、精子の刺激を受けて容易に成熟の完遂されることが明らかとなった。 2.老化牛成熟卵子の体外受精能:成熟培養20〜24時間の卵子と比較して、28〜48時間の卵子において多精受精率は有意に増加した(P<0.05)。授精後48時間の分割(2ー〜4ー細胞期)率については、成熟培養20〜40時間の卵子間で有意な差は認められなかった。しかし、授精後72〜96時間に4ー〜16ー細胞期に分割した卵子の割合は、卵子の加令が進むにしたがって著しく低下した。これらの結果から、成熟培養24時間以内の卵子を体外受精することによって、正常な牛胚の得られることが明らかとなった。 3.蛋白源の種類と濃度が体外成熟卵子の体外受精におよぼす影響:蛋白添加の有無およびそれぞれの蛋白における異なる添加濃度によって、卵丘細胞付着卵子の侵入率ならびに雌雄前核形成率に著しい差は認められなかった。一方、卵丘細胞剥離卵子を蛋白無添加の条件で授精した結果、ほとんど精子侵入は認められなかった。しかし、BSAあるいはFCSを添加した場合は、濃度依存的に侵入率が増加した。高濃度(5%)のFCS添加ではきわめて高率(97%)の多精受精が認められた。
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