研究課題/領域番号 |
01440023
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
藤澤 仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10027039)
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研究分担者 |
木谷 隆子 旭川医科大学, 医学部, 教務職員 (70101417)
竹内 昌之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40226999)
石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886)
亀下 勇 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60127941)
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キーワード | カルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素 / 中枢神経機能 / カルシウムイオン / 蛋白質燐酸化 / 自己燐酸化 / ATPγS |
研究概要 |
カルモデュリン依存性プロティンキナ-ゼIIは脳に特に多く分布し、脳内の種々の蛋白質を燐酸化して、カルシウムイオンによる神経機能の調節に中心的な役割を果している酵素である。本酵素は種々の蛋白質を燐酸化する他、自分自身の酵素蛋白質を自己燐酸化して活性の自己調節を行なっていることが明らかになってきたので、本年度はこの自己燐酸化の部位と自己燐酸化による活性変動機構の解明を中心に研究を進めた。 自己燐酸化による活性変動を酵素反応速度論的に解析した結果、本酵素は平常は最大活性の15%程度のカルシウム/カルモデュリン依存性活性をもつ低活性型酵素として存在しており、カルシウムイオン濃度が上昇すると、カルシウム/カルモデュリン依存性に自己燐酸化を受けて最大活性を示す酵素に転換することが明らかになった。自己燐酸化によって酵素分子内に多数個の燐酸が取り込まれることが報告されているが、その中の初発自己燐酸化反応について燐酸化部位の決定と燐酸化による活性変動をATPγSを用いて検討した。ATPγSを用いて自己燐酸化反応を行うと、酵素サブユニット当たり1モルのチオリン酸が取り込まれ、チオリン酸化の進行に比例してカルシウム/カルモデュリン非依存性活性が出現することが明らかになった。またチオリン酸化ペプチドのアミノ酸配列を調べ、チオリン酸化部位が286番目のスレオニンであることを明らかにした。さらに自己チオリン酸化を受けた酵素の性質を酵素反応速度論的に解析してチオリン酸化前のもとの酵素と比較し、チオリン酸化によって出現する非依存性活性は基質に低親和性であることを明らかにした。酵素はカルシウム/カルモデュリン依存性に先ず286番目のスレオニンが自己燐酸化されて低活性型から最大活性型酵素に転換し、同時に基質に低親和性のカルシウム非依存性活性が出現することが明らかになった。
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