研究課題/領域番号 |
01440024
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 八郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20029937)
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研究分担者 |
永井 克也 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (70029966)
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キーワード | 概日時計 / 視交又上核 / 網膜視床下部路 / p60^<c-src> / 蛋白質チロシンキナーゼ / CSK / D型G1サイクリン / c-fos |
研究概要 |
1.蛋白質チロシン残基のリン酸化・脱リン酸化反応と概日リズム発生機構との関係。(i)p60^<c-src>の周期的変動。概日時計の存在する視交又上核(SCN)中のp60^<c-src>の蛋白質チロシンキナーゼ(PTK)活性に、暗時に低く、明時に高い日周変動が存在することを明かにした。しかし、(ii)このPTK活性を調節する酵素として見出したCSK(C-terminal src-family kinase)との関係をin situで解析するのに十分高い抗体価を有する抗体が得られなかったため、p60^<c-src>の時刻信号発生に対する役割を明かにすることはできなかった。(iii)一方、SCNに強く発現するVG下蛋白質の発現機構をPC12などの株化細胞のみならず、脳から分離した細胞を培養し、それらの細胞について解析した結果、bFGFが強い誘導作用と示すことを見出した。これらの一連の研究成績から、脳の中に存在するbFGFなどの成長因子と、それらの受容体PTK、及び非受容体型PTKであるp60^<c-src>などが、SCNにおける時刻信号発生機構に関与する示唆を得た。2、細胞周期調節因子の関与。細胞の分化増殖の停止した成熟ラット脳から細胞分裂に関与するD型G1サイクリンを見出した。これは脳の他の部分にも存在するが、その性質から考えて、周期的な細胞機能と関係する可能性が大きいと考えられるので、PTKと関連付けながらSCNにおける時刻信号発生の分子機構を解析しつつある。3、概日時計への明暗サイクルへの同調機構。(i)SCNは大別して背内側部と腹外側部に分れる。概日時計は前者に、明暗サイクル情報を伝達する網膜視床下部路や後者に入力する。光が当ると後者のc-fosが増量することを見出した。(ii)後者にはNGFの受容体であるtrKBがSCNに存在すること、NGFがこの受容体を介して軸索を逆行して網膜に達することを証明することができた。これらの事実に踏えて概日時計の明暗サイクルへの同調機構を解析しつつある。
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