シクロオキシゲナ-ゼ・リポキシゲナ-ゼの生理的ならびに病理的動態の研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01440025
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
• 研究分担者: 高橋 吉孝 徳島大学, 医学部, 助手 (10236333) ; 林 陽子 徳島大学, 医学部, 助手 (60035441)
• キーワード: リポキシゲナ-ゼ / シクロオキシゲナ-ゼ / アラキドン酸 / プロスタグランジン / ロイコトリエン / モノクロ-ン抗体 / cDNA / 酵素免疫測定法

研究概要

アラキドン酸を前駆物質としてプロスタグランジンなどの生理活性物質を生合成するシクロオキシゲナ-ゼやリペキシゲナ-ゼのような酸素添加酵素について、その生理的ならびに病理的動態を、細胞レベルさらに分子レベルで解明することを、本研究計画の目的とする。
1.酵素触媒能:ヒト血小板12ーリペキシゲナ-ゼの基質特異性を調べて、リノ-ル酸やリノレン酸との反応性がほとんどなく、白血球の酵素と区別されることを確認した。
2.免疫組織化学的方法による酵素の分布と局在の検討:5ーリポキシゲナ-ゼの抗体を得て、ブタ各組織の免疫組織化学的に調べて、顆粒球に強い染色を示しリンパ球は陰性であった。その他に肺と膵に、陽性細胞を見出した。
3.代謝物の測定:プロスタグランジンE_2とロイコトリエンC_4のモノクロ-ン抗体を得て、それぞれの免疫親和性クロマトによる抽出精製法と免疫測定法を確立し、ヒト関節液中の病態値を測定した。
4.酵素の動態:マウス骨芽細胞シクロオキシゲナ-ゼが、プロスタグランジンE_2,F_2αおよびI_2によって誘導されることを、シクロオキシゲナ-ゼの抗体とcDNAを用いて、酵素蛋白量とmRNA量の増加で確認した。
5.酵素のcDNAクロ-ニング:ブタ白血球およびヒト赤白血病細胞の12ーリポキシゲナ-ゼ、ならびにヒト血小板シクロオキシゲナ-ゼのcDNAをそれぞれクロ-ニングして、その塩基配列を決定し、酵素蛋白の一次構造を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] Takasaki,W.: "Enzyme immunoassay of human plasma 11ーdehydrothromobxane B_2" Thrombosis Res.63. 331-341 (1991)
• [文献書誌] Natsui,K.: "Arachidonate 5ーlipoxygenase of porcine pancreas: its localization in acinar cells" Biochim.Biophys.Acta. 1084. 241-247 (1991)
• [文献書誌] Oshima,T.: "cAMPーdependent induction of fatty acid cyclooxygenase mRNA in mouse osteoblastic cells(MC3T3ーE1)" J.Biol.Chem.266. 13621-13626 (1991)
• [文献書誌] Komatsu,N.: "Immunohistochemical study on arachidonate 5ーlipoxygenase in porcine leukocytes and other tissues" J.Histochem.Cytochem.39. 655-662 (1991)
• [文献書誌] Shannon,V.R.: "Related expression of arachidonate 12ーand 15ーlipoxygenases in animal and human lung tissue" Am.J.Physiol.261. L399-L405 (1991)
• [文献書誌] Horie,T.: "Synteses of 5,7,8ーand 5,6,7ーtrioxygenated 3ーalkylー3',4'ーdihydroxyflavones and their inhibitory activities against arachidonate 5ーlipoxygenase" J.Med.Chem.34. 2169-2176 (1991)
• [文献書誌] Yamamoto,S.: "Free Radical Biology and Medicine" Pergamon Press, 149-159 (1991)
• [文献書誌] 山本 尚三: "生化学63動物のリポキシゲナ-ゼ:最近の知見" 日本生化学会, 188-201 (1991)