研究課題/領域番号 |
01440030
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
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研究分担者 |
法木 左近 福井医科大学, 医学部, 助手 (30228374)
三好 憲雄 福井医科大学, 医学部, 助手 (40209961)
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キーワード | 癌マ-カ- / DNA不安定性 / AO蛍光染色 / 抗単鎖DNA抗体 / STA結合糖蛋白質cDNA / 抗STA結合糖蛋白質抗体 / 活性酸素 / 癌診断 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)癌細胞核DNAの不安定性(2)癌細胞特異的STA結合糖蛋白質(3)癌細胞からの活性酸素の放出、の3つの新しい発見をマ-カ-として癌診断のための信頼すべき補助手段を開発実用化することにある。今年度はそれぞれについて検討して以下に述べる如く満足すべき結果を得た。(1)ホルマリン固定パラフイン切片を用いてRNase処理後AO蛍光染色、抗単鎖DNAによる免疫染色を行った結果、(a)AOでは2NHcl30℃2〜5分が至適であったが十分な癌細胞の伝染が得られなかったのに対し(b)抗単鎖DNA抗体あるいは抗シチジン抗体を除いた場合は2NHcl30℃15分の加水分解単鎖化で150例の生検、20例の手術癌組織において明瞭な癌細胞の分離が実現できた。切片作製過程におこる人工的DNAの単鎖化によって正常細胞の一部も陽性所見を呈したが明らかに区別可能であった。(2)人甲状腺癌のcDNAライブラリ-をλgt11に組込み大腸菌でフロ-ニングし、STA陽性のプラ-クからSTA結合糖蛋白のcDNAをとりビオチン化しin situ hybridizationによる染色を行った結果10例の上皮性(6例)及び非上皮(4例)悪性腫瘍で癌細胞で明瞭な分染ができた。さらにSTA陽性の変異大腸菌でマウスを免疫してポリクロ-ナル抗STA結合糖蛋白質抗体を得て同様に10例の癌で免疫染色を行ったところ、全ての癌細胞に美しい分染がみられた。また人肝細胞癌の病理解剖材料からSTA結合糖蛋白質の抽出と精製を行い分子量36000であることが分った。(3)マウス背部友下に移植したマウス扁平上皮癌組織を凍結固定クリオスタット切片標本を作製しス-パ-オキサイドの増感剤であるMCLAをしみ込ませたセルロ-スアセテ-ト膜を接着させてphotonーcounting imaging system(VIM浜松フォトニクス)にて可視化したところ癌細胞に一致して強い化学発光がみられた。本研究中特に前2者は通常の病理切片に応用できしかも操作が容易で信頼性の高い癌診断用補助手段として一般化できると結論された。
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