研究概要 |
(1)高血圧とプロティンキナ-ゼCとの関連について 昨年度の研究で高血圧と自然発症高血圧ラット(SHR)の血小板プロティンキナ-ゼC(PKC)とは密接な関連をもつことが認められたが,今年度はSHRの大動脈平滑筋におけるPKCと血圧との関連について検討した。12週令のSHR大動脈平滑筋細胞質のPKC活性は同週令のWKYラットに比して有意に上昇していた(P<0.01)。この上昇していたPKC活性は降圧薬エナラプリル(25mg1kg)を2週間投与した同週令のSHRではWKYと同程度に低下することを認めた。血圧と大動脈PKC活性との間にはr=0.84の高い正相関を認めた。この関係はDEAEクロマトグラフィ-で標品を部分精製しても同様であった。膜分画のPKC活性はSHRにのみ認められた。RKCのα,β型に特異的なモノクロ-ナル抗体を用いPKC蛋白の半定量をイムノブロットを行い検討したがSHRでWKYに比し有意に増加し,エナラプリル治療群ではWKY程度に低下していた。これらの結果よりSHR大動脈のPKC活性,含量は血圧と密接に関連していることが明らかとなった。 2)フォスフォリパ-ゼC(PLC)の遺伝子レベルでの変異について ラットのPLCーα,β,γ_1,γ_2,δのそれぞれのCDNAをPCRを用いてダイレクトクロ-ニングを行いプロ-ブとして使用した.SHRとWKYより得たDNAについてRFLPを検討した所,PLCーα,γ_2には差を認めなかったが,PLCーγ,β,δについてはSHRとWKYの間にRFLPを認め,これらの遺伝子あるいはその近傍にSHRとWKYの間には変異が生じていることが示唆された.
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