研究概要 |
(1)高血圧とプロティンキナ-ゼCとの関連について 自然発症高血圧ラット(SHR)の大動脈のプロティンキナ-ゼC(PKC)活性は上昇し血圧とr=0.84の密接な相関を示した。DEAEカラムにより精製した標品においてもやはりSHRはWKYラットに比しPKC活性が高く、αーPKCに対するモノクロ-ナル抗体を用いてのイムノブロットでSHRでは77K,74KのPKC蛋白がWKYに比し多く、また、エナラプリルでSHRを降圧した群に較しても多量に存在し、αーPKCのmRNA量もSHQで多量に発現しており,WKY,SHrーエナラプリル降圧群ではαーPKCのmRNA量の発現は低下していた。これらの事よりSHRの大動脈のPKC活性の上昇はαーPKCの合成の亢進により生じ,この亢進は血圧の上昇に関連している事が明らかとなった。 (2)SHR大動脈における成長因子の遺伝子発現について 高血圧の予後因子として大きな役割を果す動脈硬化の成因に血管平滑筋の増殖が重要である。SHRの大動脈において各種成長萎子の発現がWKYに較しどのように異っているかを,RTーPCR法にて大動脈における各種成長因子のmRNA量を定量した。PDGFーA,PDGFーB,IGFーII TNF,TGFーβ,ILー6について検討したが,PDGFーAがSHRの大動脈でWKYと比して最も差異をもって多量に発現していた。PDGFーBは大動脈中膜での発現は認めなかった。また、エナラプリルで降圧したSHRの大動脈でPDGFーAの発現は抑制された。これより高血圧に伴う動脈硬化,血管平滑筋の増殖にPDGFーAが関与している事が示唆された。
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