研究課題/領域番号 |
01440051
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
峠 哲哉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40034657)
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研究分担者 |
山田 裕典 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
黒井 克昌 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | サ-モグラフィ- / 乳がん / 診断 / 熱代謝 / 腫瘤非触知乳がん / 予後因子 / 集団検診 |
研究概要 |
本研究においてはまず、サ-モグラフィ-の基礎的検討としてアンギオテンシンIIおよび冷水(静脈内投与)負荷による腫瘍の熱産生の変化を赤外線サ-モグラフィ、深部体温計を用い計測し、腫瘍部の血流および熱代謝は周囲の熱環境の変化によらず安定していることが明らかとなった。さらに乳がんにおける腫瘍部の血流、熱代謝の臨床的意義を明らかにするため、サ-モグラフィ-所見(左右の温度差:ΔΤ)と腫瘤径、病期、ERの有無、組識学的リンパ節転移などの臨床病理学的所見との関連を検封した。ΔΤが大きい症例ほど組識学的リンパ節転移が多く、さらに、ΔΤが1.5℃以上の症例においては、それ以下の症例に比べ生存率が不良で無病期間も短かい傾向を認めた。以上より、サ-モグラフィ-所見は予後因子として有用であることが明らかとなった。 臨床的検討としてサ-モグラフィ-の診断成積を検討し、接触型サ-モグラフィ-(テルマンマ)は赤外線サ-モグラフィ-(サ-モビュアJTC3300)と同等の診断能を持つことが判明した。一方、テルマンマの欠点として高温域の描出には少し劣ること、テルマンマでは異常を描出できなくても赤外線サ-モグラフィ-で描出可能である症例があることなどの問題点が明らかとなったが、撮影条件をより適格なものにし、正しくプレ-トを用いることにより乳がん検診に応用することが可能であると考えられた。また、集団検診にテルマンマを応用し乳がんの高リスク群の同定に役立つことが期待された。さらにサ-モグラフィ-所見と乳がん進展範囲を検討し、高温域の広さが進展範囲の予測に有用であることが明らかとなった。 以上より、サ-モグラフィ-は腫瘍部の血流、熱代謝を反映し予後因子として、有用であること、乳がんの高リスク群の同定、腫瘍の進展範囲の予測に役立つことが示唆された。
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