研究課題/領域番号 |
01440053
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
太田 和夫 東京女子医科大学, 腎臓病総合医療センター・外科, 教授 (40090659)
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研究分担者 |
田辺 一成 東京女子医科大学, 腎臓病総合医療センター・外科, 助手 (80188359)
早坂 勇太郎 東京女子医科大学, 腎臓病総合医療センター・外科, 助手 (30120033)
高橋 公太 東京女子医科大学, 腎臓病総合医療センター・外科, 助教授 (90101857)
清水 勝 東京女子医科大学, 輸血部, 教授 (20048987)
阿岸 鉄三 東京女子医科大学, 腎臓病総合医療センター・外科, 教授 (70090660)
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キーワード | 腎移植 / ABO血液型不適合 / 既存抗体 / 血漿交換 / 免疫の吸着 / 抗A抗B抗体 / 免疫抑制剤 / deoxyspergualin |
研究概要 |
腎移植の適応を拡大するためにABO血液型不適合間と既存抗体陽性例の腎移植を行った。さらにABO血液型不適合間の移植をすることにより新しい知見として腎臓より血液型転移酵素活性物質が産生されていることが発見できたので報告する。 (1)ABO血液型不適合間腎移植 本年度は10例のABO血液型不適合間生体腎移植を行った。移植1週間前に血漿交換を1回、BIO-SYNSORBカラムを使用した免疫吸着を4回行い、血清抗A抗B抗体価を移植直前に4倍以下に抑え、移植時、抗体産生を抑制するために脾摘を併用した。免疫抑制剤は移植2日前より投与を開始し、3ケ月後には維持量に変更した。10例とも移植後の腎機能は良好であったが、1例に悪性腫瘍の発生をみた。 また1例に認められたB-enzyme活性は移植腎に由来するものと考えられ、血清中の血液型転移酵素が腎臓で産生されている事が明らかとなった。 (2)既存抗体陽性例の腎移植 移植前Tcell抗体陽性例5例に対して、移植前に血漿交換を3〜9回およびIM-TR350を使用した免疫吸着を行いTcell抗体を除去した。5例のうち3例は移植時、脾摘を併用し、残りの2例は、その代わりに新しい免疫抑制剤deoxyspergualinを使用した。移植後、全例移植腎機能は良好である。 結論 われわれは腎移植適応拡大のため、ABO血液型不適合間と既存抗体陽性例に腎移植を行い、ほぼ満足できる成績をえた。今後、これらの治療は、死体腎(献腎)の提供の少ないわが国では普及する方法と考えられる。
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