研究課題/領域番号 |
01440054
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
小林 迪夫 大分医科大学, 外科学, 教授 (20038657)
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研究分担者 |
吉田 隆典 大分医科大学, 外科学, 助手 (90220649)
御手洗 義信 大分医科大学, 外科学, 助手 (70166049)
金 良一 大分医科大学, 外科学, 講師 (40185905)
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キーワード | 肝移植 / 免疫抑制剤 / 肝保存 / FK506 / Azathioprine |
研究概要 |
3年次は、免疫抑制剤の長期保存移植肝におよぼす影響とその機構について、解析を開始した。まず体重11〜20kgの雑種豚の肝臓を摘出し、4°c EuroーCollins液で12時間保存した後、Recipientに同所性に肝移植するモデルを作成し、DONOR前処理により、コントロ-ル(I群:無処置)および処置群(II群:Azathioprine 1mg/kgを術前3日間経口投与)に分け、移植後の4日生存率、組織血流量、血液生化学および光顕および電顕像を検討した。免疫抑制剤で前処理した群では、生存率(5/6vs0/5)、移植肝組織血流(19.1±3.4vs10.0±2.8ml/100g tissue/min,血流再開後1hr)は有意に改善していた。この現象に一致して 肝組織の類洞内皮系は免疫抑制剤投与群で良く保全されており、一方肝実質細胞障害については、差はみとめなかった。この免疫抑制剤による肝阻血障害の保護効果を解析するために、ラットを用い、我々の温阻血モデルにて、Cytokine産生の観点から検討した。初年度に報告したように、雌性ラット(S/D)に60分間の肝温阻血を施し、非処置群をコントロ-ル(III群)として、術前4日間、免疫抑制剤FK506(1mg/kg)で前処置した群(IV群)に分けて、術後の7日生存率、血清中TNFーαおよびEndotoxinを検討した。免疫剤の前処理により、一週間生存率は著しく改善し(80.0%24/30vs50.0%19/38)、一方、阻血再潅流後6時間のTNFのピ-ク値はFK506群で有意に抑制されていた(75.8vs123.2pg/ml)。しかしながら、エンドトキシン値には差はみられなかった。以上の結果をふまえて、最終年度は、免疫制御機構の肝保存障害における役割を総合的に臨床的意義を含め、解析していきたい。
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