研究課題/領域番号 |
01440055
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
青木 照明 東京慈恵会医科大学, 第2外科学教室, 教授 (20056708)
|
研究分担者 |
柏木 秀幸 東京慈恵会医科大学, 第2外科学教室, 助手 (40185757)
秋元 博 東京慈恵会医科大学, 第2外科学教室, 講師 (20138704)
|
キーワード | 消化性潰瘍 / 十二指腸潰瘍 / アドレナリン / 酸分泌 / ガストリン / ノルアドレナリン / システアミン / プロスタグランディンE_2 |
研究概要 |
臨床的検討:アドレナリン(40ng/kg/min.)を1時間点滴静注すると、十二指腸潰瘍患者を始め、胃潰瘍、胃・十二指腸併存潰瘍患者においても血清ガストリン値の増加とともに、酸分泌の増加(アドレナリン作働性酸分泌)が認められた。しかし、健常者では、ガストリン値は増加するが、酸分泌は抑制傾向を示した。アドレナリン作働性ガストリン分泌は幽門洞ガストリン細胞数と正の相関を示し、幽門洞切除術により除去され、幽門洞ガストリン分泌能を反映するが、近年難治性潰瘍として手術の適応となった症例では、アドレナリン作働性ガストリン分泌の増加が認められ、難治化を反映していた。また、消化性潰瘍治療薬として用いられるヒスタミンH_2-受容剤拮抗剤に対する抵抗性潰瘍では、迷走神経性酸分泌とともにアドレナリン作働性酸分泌の高値が認められている。基礎的検討:ウィスタ-系雄性ラットを用いた実験系において、実験的十二指腸潰瘍作製に用いられるシステアミンの急性投与により、胃酸分泌の増加、血清ガストリン、血漿ノルアドレナリンの増加が認められた。アドレナリン(40、80、160ng/kg/min.)を負荷した場合、コントロ-ル群は用量依存的に胃酸分泌量が減少するのに対し、システアミン投与群では用量依存的に胃酸分泌量の増加が認められた。血漿ノルアドレナリン値の増加、アドレナリン負荷による酸分泌の増加は、臨床において、健常者と十二指腸潰瘍患者においても認められ、病態の類似性が示唆された。ヒスタミンH_2-受容体拮抗剤であるファモチジンの長期大量投与により、血清ガストリン値の増加に続き、投与開始1週目より幽門腺上部1/3のガストリン細胞数の増加が出現し、これに遅れて2週目以降より、本来ガストリン細胞が多く存在する中部1/3領域のガストリン細胞数の増加が認められた。ファモチジンにプロスタグランディンE_2を併用することにより、血清ガストリン値の増加が抑制された。
|