実用型の張力センサ-付高精度駆動創外固定器を完成した。これにより、軟部組織とくに筋膜等の線維性結合織の組織形成を推定することが可能となり、また定長組織延長だけでなく定荷重組織形成が可能となった。この創外固定器は、振幅6ミクロン単位で周期的に運動させることも可能であって、定常荷重だけでなく周期的荷重が骨組織および軟部組織の形成におよぼす影響を観察することができる。骨組織の形成は仮骨にふくまれる骨塩量の測定により、くりかえし荷重が骨塩沈着を促進することを証明した。皮膚の組織形成は、表皮上に色素を塗布して長さと面積とを観察し、脚延長時の皮膚形成が一定の様式の分布をもつことを明らかにした。末梢神経の組織形成は、神経学的検査と電気生理学的検査とによって推定し、脚延長中は運動能力が低下していないように見えていても神経伝達速度が低下することおよび延長停止後に比較的急速に回復することを明らかにした。組織血流および四肢の動静脈血流量を測定し、組織の張力荷重また周期的運動によりこれらが変化することおよび血流変化が神経回路を経て発現していることを明らかにした。 動物実験では、2種類の駆動創外固定器を作成し骨の運動が骨形成におよぼす影響を観察した。すなわち、骨接合部の骨新生は従来説えられてきたような骨片間の圧縮力または圧縮方向への周期運動によって促進されるだけでなく、骨片を引き離す方向への周期運動によっても促進されることおよびこの促進効果の発現に必要な運動の回数が従来説えられてきたような数百回以上である必要はなく5回以下の回数で充分であることを明らかにした。これらの研究に用いる実験用創外固定器は、電動式のものと気動式のものとを作成し、それぞれ動物の日常動作を妨げない大きさまで小型化したことにより上述のような観察が可能となった。
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