研究概要 |
1)ラット膝関節に生ぜしめた骨軟骨欠損部に培養したラット関節軟骨細胞をコラ-ゲンゲルとともに埋殖し,ラット膝関節の組織学的所見を術後6ケ月まで追及した。 2)上記実験の免疫学的問題を解明する目的で,WKAH/HKm系のラットから採取した軟骨細胞を,同系のラットに移植した場合と,(isograft群)major mismatchの関係にある,F344/NS1cに移植した場合(allograft群)とを,術後6ケ月まで比較した。その結果,術後1ケ月では両者間に差はなかったが3ケ月後の組織像では,isograft群の方でより修復が進行していた。術後6ケ月は両者に著しい差を認めなくなっていた。 3)鶏胚軟骨細胞を培養し,培養軟骨細胞の分化におよぼすFIBRONECTINの影響を検索した。 その結果,球形の軟骨細胞がFNを培地に加えることにより紡錘形になり,すなわち脱分化の生じることがわかった。 4)鶏胚軟骨細胞のFIBRONECTINのリセプタ-有無を,免疫化学的に検索してきた。 その結果,軟骨細胞はFNのRGDS配列を認識し,リセプタ-を有することを確認した。 5)関節欠損部を修復するために用いる培養軟骨細胞の形質維持,分化,脱分化におよぼす様々の培養条件の影響を解明し,より良い修復を可能にする培養の方法を確立するための研究をさらに推進していく。
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