研究課題/領域番号 |
01440072
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
坂倉 康夫 三重大学, 医学部, 教授 (40024723)
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研究分担者 |
斎田 哲 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (60205630)
浜口 幸吉 三重大学, 医学部, 助手 (80172964)
間島 雄一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60024791)
鵜飼 幸太郎 三重大学, 医学部, 助教授 (80024735)
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キーワード | 膜のイオン輸送 / 動的粘性率、動的弾性率 / 気道液 / 糖蛋白 / 浸出性中耳炎 / 慢性副鼻腔炎 / 鼻アレルギ- / 蛋白分解酵素 |
研究概要 |
本研究の初年にあたる本年は方法の確立を中心として行なわれたが、以下にのべる研究成果も得られた。方法の確立としては滲出性中耳炎(ネコ)、副鼻腔炎(ウサギ)、鼻アレルギ-(ラット)の動物モデルが完成したこと、およびアッシングチャンバ-による膜のイオン輸送の測定が可能となったことである。イオン輸送に関してはウサギ気管や鼻腔粘膜の電気生理学的特性を明らかにし、さらに慢性副鼻腔炎上顎洞粘膜のイオン輸送能と上顎洞貯留液の粘弾性との間に逆相関がみとめられ、上顎洞貯留液の粘弾性の決定に洞粘膜のイオン輸送能が重要な役割を果たしていることが明らかになった。慢性副鼻腔炎、鼻アレルギ-、正常人の鼻粘膜分泌細胞の組織化学的検討で、副鼻腔炎、鼻アレルギ-ともに腺細胞の増殖が著明なことが示され、これらの疾患における分泌増多の一原因として鼻腔の腺細胞の増殖が示唆された。また慢性副鼻腔炎鼻汁中の糖蛋白に対するモノクロナ-ル抗体の作成を試み、漿液腺細胞のみを特異的に認識する抗体を得ることができた。今後は本抗体を用いて種々の病的状態における分泌物に占める粘液腺と漿液腺の役割を解明する計画である。また分泌液中の糖蛋白の定量的測定も高速液体クロマトグラフィ-の導入で可能となった。病的分泌物における糖蛋白の分布、また糖蛋白と分泌物の粘弾性との関係につき検討する予定である。慢性疾患に於ける炎症産物の果たす役割を知る目的で緑膿菌より産生される蛋白分解酵素(エラスタ-ゼ)について検討した。緑膿菌エラスタ-ゼに対するポリクロナ-ル抗体を作製し、本抗体を用いた酵素抗体法でエラスタ-ゼレベルを測定した。慢性化膿性中耳炎分泌物中の値は他の中耳疾患のそれに比し高値を示し慢性中耳炎に於ける緑膿菌エラスタ-ゼの重要性が示唆された。
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