研究分担者 |
中村 英雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手
亘理 文夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70158682)
岡崎 邦夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 元助手 (90150292)
高橋 英和 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (90175430)
野本 直 東京医科歯科大学, 歯学部, 元教授 (10013799)
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研究概要 |
ステンレス鋼製スクリューを測定試片の両端に埋め込み,スクリューを把持部として試料に繰り返し引張応力を負荷する直接引張疲労試験法を考案した。サイン波,矩形波,三角波の三種の負荷波形について検討し,測定値の変動係数が小さい三角波の負荷が望ましいと考えられた。また,疲労強度はスクリューのセメント合着により改善され,セメントの種類によりその程度は異なったが,亀裂発生から破壊までに与えた繰り返し応力の回数はセメントの影響を受けないことがわかった。 上記の試験法を用いて,人歯象牙質ならびに一部の歯冠修復材料の動的疲労試験を行った。歯冠修復材料の疲労特性を4,000〜5,000回の破断寿命を物差しとしてコア用レジンと鋳造用第1種銀合金を比較すると前者は22.2MPaで,後者の約4倍の応力に耐えることができると評価できた。また,繰り返し回数10^5までの疲労限度を階段法で求めると,室温のガリウム合金で27.9MPa,高銅求アマルガムで26,2MPa,37℃の水中では,ガリウム合金で29.5MPa,アマルガムで26.MPaであった。また鋳造用第1種銀合金の3点曲げ試験法で求めた繰り返し回数10^5回までの疲労限度は155MPaであった。 若年者の象牙質は一般に疲労限度が高く,最大負荷応力が34MPaのときでも60,000回以下の負荷回数では破断は生じないが,高齢者の象牙質の場合には疲労限度は低下し,28MPaの負荷応力でも20,000以下の負荷回数で破断を生じた。疲労によって破断した破断面のSEM観察により,破壊の開始点近傍には,通常の象牙細管よりやや太い細管が密集している状態がみられた。静的破断の場合と異なり,疲労破壊の場合には,破壊は管周象牙質と管間象牙質の区別を生じないで進み,破断までの負荷回数に反比例した幅のSTRIATIONが観察された。
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