研究課題/領域番号 |
01440080
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大橋 靖 新潟大学, 歯学部, 教授 (30013874)
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研究分担者 |
永井 直人 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (70207968)
星名 秀行 新潟大学, 歯学部, 助手 (30173587)
中野 久 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (60180329)
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キーワード | 二次口蓋 / 口蓋裂 / 過剰ビタミンA / BrdU抗体 / 免疫組織化学 / 血管構築 / 鋳型法 / 走査電子顕微鏡 |
研究概要 |
正常ラット及び過剰ビタミンA投与により実験的に誘発させた口蓋裂ラットを用いて、二次口蓋部の細胞分裂活性及び、骨・血管系の分化・形成過程を比較観察した。1.口蓋突起の水平転位・癒合は正常群では胎生16.5日に認められたが、口蓋裂群ではほぼ一日遅れの胎生17.5日に観察された。この時期のDNA合成期細胞をBrdU(Bromodeoxyuridine)抗体を用いて免疫組織化学的に検索した結果、(1)正常群・口蓋裂群とも口蓋突起の鼻腔側上皮よりも口腔側上皮で細胞分裂活性が高かった。(2)口蓋突起の上皮細胞、間葉細胞とも口蓋裂群では正常群に比べ細胞分裂活性が低かった。2.一般組織標本ならびにアリザリンレッドS骨染色標本を作製し、上顎骨・口蓋骨の発生様式を経時的に観察した結果、(1)上顎骨・口蓋骨の形成は口蓋突起癒合期から始まり、出生直前に正中口蓋縫合が形成され骨口蓋の基本形態が完成した。(2)口蓋裂群では骨の形成過程も約1日遅れで観察された。3.アクリル系樹脂を注入した血管鋳型走査電顕法を用いて二次口蓋の三次元的微細血管構築を経時的に観察した結果、(1)正常群、口蓋裂群ともに口蓋突起が水平転位する以前の口蓋突起の血管分布密度は、上皮細胞の細胞分裂活性に一致して、鼻腔側よりも口腔側で高かった。(2)上顎骨、口蓋骨の形成端には密な血管網が認められ、同領域における活発な骨形成に対応していた。(3)口蓋裂群では、血管網の発達は遅延し、毛細血管の太さや網目の大きさ、分布密度の不均一といった微細血管構築の相違が認められた。 以上から過剰ビタミンA投与は細胞分裂や骨・血管系の分化、形成を抑制すると考えられた。また細胞分裂活性の局在やそれに対応した血管分布が、口蓋突起の水平転位に関与している可能性が示唆された。今後、口蓋裂自然発生マウスであるCL/Fr系マウスを用いてさらに検索する予定である。
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