研究課題/領域番号 |
01440080
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大橋 靖 新潟大学, 歯学部, 教授 (30013874)
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研究分担者 |
小野 和宏 新潟大学, 歯学部, 助手 (40224266)
千葉 順一 新潟大学, 歯学部, 助手 (40217245)
中野 久 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (60180329)
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キーワード | 血管構築 / 鋳型法 / 二次口蓋 / 自然発生口蓋裂 / CL / Fr系マウス |
研究概要 |
前年度,マウス胎仔が極めて小さい為に標本作製に苦慮した胎齢18日以前(口蓋突起が水平転位・癒合するまでの期間)の血管鋳型標本の作製に成功し、本年度は正常マウスならびに口唇裂口蓋裂自然発生マウスの血管系の形成について比較観察を行った。その概要は以下の如くである。 水平転位前の胎齢14日8時間から一次・二次口蓋完成以後の胎齢18日12時間までのCL/Fr系マウス胎仔を用い、麻酔下に開胸・27G針を刺入し、10%ホルマリンにて潅流固定した後、メルコックス樹脂を注入し血管鋳型標本を作製した。これを査電子顕微鏡にて観察した結果、正常群では、水平転位前の口蓋突起血管網は、鼻腔側に比して口腔側で密であり、口腔側と鼻腔側の移行部では毛細血管の一部に拡張像が観察された。これは、口蓋突起を水平転位させるための力として働く可能性がある。水平転位後には、口蓋突起血管網の伸展像がみられた。この伸展像は口蓋突起が正中側へ伸長するために生じる代償性変化と思われた。また、口蓋突起自由縁の中央部付近に樹脂状の球状塊が観察され、発達する血管網の先端で血管壁になんらかの変化が生じている可能性が示唆された。一方、口唇裂口蓋裂群でも比較的同様の像が観察されたが、口腔側と鼻腔側との移行部では毛細血管の拡張が遅延し、さらに片側の口蓋突起では、しばしば拡張像が欠如していた。水平転位後には血管網の伸展像はみられなかったが、これは口蓋突起の正中側への伸長が認められなかったために生じたものと考えられた。また、口唇裂口蓋裂群の口蓋突起破裂縁では多くの樹脂の漏洩がみられ、一次口蓋部では毛細血管のジヌソイド様変化が観察された。以上の結果から、口唇裂群では血管系の発達が遅く幼弱であり、これが口蓋裂発生になんらかの関係を持つ可能性が示唆された。
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