研究課題/領域番号 |
01440085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 暸 東京大学, 医学部(医), 教授 (50014072)
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研究分担者 |
安藤 譲二 北海道大学応用電気研究所, 講師 (20159528)
柴田 政廣 東京大学, 医学部(医), 助手 (60158954)
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キーワード | 血管内皮細胞 / ずり応力 / カルシウムイオン / 血行力学的応力 / 培養細胞 / 内皮由来血管拡張物質 |
研究概要 |
本研究は血管内皮細胞の血流感知・応答機構を培養内皮細胞と流れ負荷装置により解明しようとするものである。平成2年度の研究計画に基ずいた実験により下記の結果を得た。(1)。内皮細胞にM199培養液(ATP1.8μM含有)の流れを負荷すると細胞内Ca^<++>の上昇反応が起こることは前年度の実験で示した。この場合ある時間(7秒)以上の流れの休止期をおかないと反復した流れ負荷に反応しなかったりin vivoでの血流に類似した連続した流れの速さの変化に対して反応を示さなかった。今回,ATP500nMを含むハンクス平衡塩類溶液を用いて内皮に流れ負荷を行ったところ連続した段階的な変化に対応したCa^<++>反応が観察された。これらのことから内皮はATPの存在かで流れの変化を細胞内情報伝達系のsecond messengerであるカルシウムイオンを介して感知している可能性が示唆された。(2)。流れに対する内皮の細胞応答に関しては培養内皮細胞に24ー48時間1ー3dyn/cm^2の流れを負荷したところ内皮剥離後の内皮細胞の遊走・増殖が刺激されること、遊走はとくに流れの下流方向に著明に起こることが観察された。この際内皮のDNA合成が亢進しcell cycleの分裂期の細胞の割合が増加することが明らかになった。また流れ刺激は内皮からの平滑筋遊走刺激因子の産生を促し細胞外マトリックスの1つであるコラ-ゲン産生を増加させる。内皮は血小板凝集抑制作用と平滑筋弛緩作用を有するEDRF(endotheliumーderived relaxing factor)を産生するがこの機能が流れによるCa^<++>上昇反応と関係することが判明した。このことは内皮が血流の変化を感知しその変化に対応してEDRFを産生・分泌し血管のト-ヌスの調節を行うと言った機構の存在が示唆された。以上当該年度の成果として内皮の流れ感知機構にATPが関与する可能性と流れにより引き起こされるCa^<++>上昇反応と血管拡張物質の産生・分泌とがlinkageしている事実が明らかになった。
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