研究分担者 |
豊田 裕 東京大学医科学研究所, 獣医学研究部, 教授 (90050418)
伊藤 守 (財)実験動物中央研究所, 免疫研究室, 研究員 (00176364)
長谷川 孝徳 (財)実験動物中央研究所, 発生工学研究室, 研究員 (20192271)
横山 峯介 (財)実験動物中央研究所, 生殖研究室, 室長 (40090930)
|
研究概要 |
バイオサイエンスの研究に実験動物は不可欠である。とくに,マウスとラットでは,数多くの系統が育成され,使用されている。しかし,維持系統の数が多くなると,それに費やされる場所や労力,経費は膨大なものとなり,研究を進めるうえでの障害ともなる。また,種々の系統を育成して継代している研究者がなんらかの事情によって研究を中断する場合などは,貴重な系統でも,他の研究者に引き継がれることなしに絶えてしまうことも多い。本研究は,これらの点を解決するために,マウスおよびラットの初期胚・配偶子の凍結保存法を開発・改良し,系統保存のためのエンブリオバンクシステムの確立を目的として実施された。 1.マウス精子の凍結保存については,凍害保護剤として10種類の糖類を用い,それぞれの保護効果を調べた。その結果,2糖類や3糖類の分子量の多いもので保護効果の高いことが認められた。 2.当研究所で維持されている23系統の近交系と3系統のミュ-タント系について,過排卵処理した際の交尾率と正常8細胞期胚の回収数を調べた。交尾率は15〜84%と系統によって大きな差が認められ,交尾メスからの正常8細胞期胚の回収数も3.5〜31.3個と大きな差がみられた。 3.マウス初期胚の凍結保存は,昨年度に引き続き,当研究所で維持されているものの他に,外部の研究施設で維持されている系統についても動物を導入して胚の凍結を行なった。これらはすべて体外受精技術の応用によって受精卵を作成し,効率的に,かつ計画的に実験を遂行した。 4.ラット初期胚(2細胞期胚)についても,自然排卵・自然交配で得たものを使って凍結保存を行なった。方法としては,マウスでの緩慢冷却・緩慢融解法に準じて行ない,70%以上の値で形態的に正常な胚を回収し得る条件を確立した。しかし,実験によってバラツキも大きいことから,さらに条件を細かく検討する。
|